安倍晋三首相のフェイスブックがまた「注目」されている。安倍首相のページに批判的な言葉を書き込んだ人から、ページにアクセスできなくなるように「ブロック」されたという書き込みが相次いでいるのだ。
この指摘自体はすでに1年半ほど前から出ていた。ただ、最近になって安倍首相のフェイスブックの発言が一部から批判されたこともあって、改めてブロック問題もクローズアップされつつある。
9月下旬の書き込みが拡散される
ここ数日で急に拡散されているのが、ツイッター上の
「安倍晋三のFBのコメント欄には人種差別発言が多いので、『管理人(秘書)は不適切な発言を削除しろ』と書き込んだら俺がブロックされる理不尽」
「ぼくも同様に、安倍首相のFBのコメント欄のあまりにもひどい嫌韓嫌中発言について指摘したところ、ブロックされました」
というやり取りだ。書き込みが行われたのは9月下旬。だが、安倍首相が11月24日夜、ヘイトスピーチが問題化しているまとめサイト「保守速報」の書き込みをシェアしながら、大学生が小学生になりすましていたことを
「批判されにくい子供になりすます最も卑劣な行為だと思います。選挙目当ての組織的な印象操作ではないでしょうが、選挙は政策を競い合いたいと思います」
などと発言したことがきっかけになり拡散されたようだ。安倍首相が「保守速報」をシェアしたことや、一国の首相が大学生を批判したことに違和感が広がり、首相のフェイスブックの運用方法自体が問われるようになりつつある、という流れだ。
真意説明しても「保守速報」問題は「スルー」
問題となった安倍首相の書き込みはすでに削除されており、安倍首相は11月26日に改めて真意を書き込んだ。ただ、この文章の中でも「保守速報」をシェアしたことについては触れていない。
「意見の内容や意見を述べる人の立場に嘘や偽りがあってはなりません。このことは、大人でも子供でも、どのような世界のどのような場面にあっても変わらぬ普遍の原則です。(中略)それでも、好奇心や見栄に負けて過ちを犯してしまったら、行動を改めればよい。小学4年生と偽った大学生も『そのアイディアやエネルギーを強くて明るい将来に向けてほしい』と心から願います」
首相FBの「ブロック問題」の指摘は、決して新しいものではない。2013年6月には「安倍晋三総理からのブロック(言論弾圧)に抗議する会」と題するグループがフェイスブックに立ち上がっている。グループの書き込みによると、グループ立ち上げ当時は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加に反対したり、福島県の子どもを圏外に退避させるよう求めたりする書き込みをした人がブロックされたとしている。
国会では「基本的に(コメントを)削除している訳ではない」と説明していた
ただし、このグループには
「『おまえの爺さんはA級戦犯にして戦後CIAのエージェントに転向した売国奴』と事実を申し上げたら、アクセスブロックされましたw」
といった書き込みもある。明らかな誹謗中傷はブロックされてもやむを得ないとみられ、ブロックの基準が問題になりそうだ。
安倍首相のフェイスブックは、国会でも問題にされたことがある。鈴木寛参院議員(当時)が13年5月7日の参院予算委員会で「(コメント欄に)ヘイトスピーチ的書き込みが、かなり増えている」などと指摘したところ、安倍首相はヘイトスピーチを批判しながら、
「それ(ヘイトスピーチ)をいさめる書き込みもあるのも事実」
「基本的に(コメントを)削除している訳ではなく、私自身に対する誹謗中傷も随分書き込まれている」
などと基本的にはコメント欄に手を入れない方針を示していた。