景品表示法(景表法)改正案が2014年11月19日の参院本会議で可決・成立した。実際に使っていない高級食材を使っているように装うなど不当な表示をして商品やサービスを売った企業に課徴金を科す制度を盛り込んだのが最大のポイントで、2016年春までに施行する見通しだ。
ホテルや百貨店、レストランチェーンなどで13年秋以降、食材の虚偽表示問題が続発したのを受けたもので、衆院解散・総選挙で与野党対立が先鋭化する中でも消費者重視をアピールしたい各党間にこの問題での大きな対立はなく、全会一致での可決になった。
不当に利益を得た法人・個人から、その利益を没収する制度
改正法により、消費者庁は、悪徳業者を摘発する新たな武器を手にしたことになる。ただ、実際の適用には制限があり、また実際にどの程度のことを違反とするかは曖昧な部分もあり、定着にはまだ時間が必要になりそうだ。
課徴金は刑事罰の罰金と違い、行政府が法律に違反して不当に利益を得た法人・個人からその利益を没収する処分。金融商品取引法や独占禁止法などで導入されている。 今回の景表法に基づく課徴金制度は、同法違反の不当表示をして再発防止の措置命令(行政処分)を受けた事業者が対象になる。課徴金額は違反商品やサービスの最大3年分の売上額の3%。具体的には、実際よりも品質などを著しくよく見せる「優良誤認」と、実際より著しく値段を安く見せるなどの「有利誤認」の2類型の不当表示を基本的に対象とする。また、合理的な根拠なく「飲むだけでやせる」などと効果をうたった「不実証広告」も対象に含む。