「最安水準」が収益を圧迫
最初に動いたのは、松屋だ。7月下旬から、関東圏の店舗で、冷凍からチルドへ牛肉を切り替えた「プレミアム牛めし」を380円で売り出した。それまでより90円高い。すき家は8月下旬から、それまでより21円高い291円へと価格を引き上げたが「最安水準」であることには変わらず、結果としてこれが収益を圧迫した。
吉野家は牛丼の価格は変更していないが、他社に先駆けて10月下旬に投入した鍋メニュー「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」(並盛り)は、5月の販売終了時点より40円高い630円に設定した。火の付いたコンロで提供するため、最後まで「アツアツ」を楽しめるのが人気で、昨シーズンは1400万食販売した大ヒットメニューだけに、値上げが受け入れられれば、収益に貢献するのは間違いない。
「すき家」も「牛すき鍋定食」を11月下旬に復活。具材を3割増量し、並盛りは734円と今年2~3月の発売時より154円高く設定した。2月に発売した際には店舗での作業に手間がかかり、アルバイト店員が大量に退職する要因となったが、今回は店内作業を大幅に減らすよう工夫したという。
各社が「デフレ路線」からの転換を図る背景には、牛肉価格の高騰がある。「米国産牛肉の価格は昨年比2倍に上昇している」(ゼンショー)という。今後も急激な円安によって、さらにコストは膨らむ可能性がある。原材料高をいかに販売価格に転嫁できるかが収益改善のカギを握りそうだ。