衆院解散にあわせて作成された「どうして解散するんですか?」というサイトが話題になっている。当初、制作者は「小学4年生」を自称。しかしながら、高度なデザインなどから、またたく間に疑いの目が向けられた。
関与を疑われたNPO法人は、代表理事が一個人として行ったことだと認めた。サイトは閉鎖され謝罪文を掲載したが、批判はおさまらず、若手論客をも巻き込んだ「炎上」に発展しつつある。
「黒幕」のNPO代表は辞任
「どうして解散するんですか?」は、学校の教室を思わせるデザインだった。黒板に「#どうして解散するんですか?」の文字と、ツイート数を思わせる数字、そして怒りを示す絵文字。黒板の下に置かれたノートには「しつもんです。ぼくにはさっぱり分かりません」などと、今回の衆院解散・総選挙への疑問が書かれていた。
ドメイン(why-kaisan.com)が取得されたのは2014年11月19日。正確な開設日時は不明だが、ツイッター上で注目され始めたのは21日ごろだった。
このサイトを作った「中村」氏は10歳(小学4年生)だというが、年齢にしてはデザインが出来すぎていたりなど、設定のブレを指摘する声が続出した。
ネットユーザーが「黒幕」探しにやっきになるなか、「why-kaisan.com」と同日に取得された「why-kaisan.jp」が、NPO法人「僕らの一歩が日本を変える」の名義だと判明。NPOは22日、団体での関与を否定する一方、23日には代表理事のA氏(20)がNPOのアカウントでドメインを取得したと発表した。
A氏は辞任の意向を示し、NPOは受理したという。「どうして解散」は22日、A氏による謝罪文を掲載した。同じく大学生のT氏(19)にサイト制作を依頼したと説明し、架空の小学生を名乗ったことを謝罪した。しかし、「累計4000万人近い人」が「#どうして解散するんですか?」を目にしたとし、「少しホッとしました」とコメントしている。
経済誌の企画で、著名な評論家とも対談
A氏とT氏は以前から、ちょっとしたネットの有名人だった。「東洋経済オンライン」は14年1月、ふたりの対談記事を「新春U20対談 日本を変える10代」と題して掲載している。対談では「若者代表は古市さんじゃない、オレたちだ!」の見出しで、社会学者の古市憲寿氏(29)をはじめとする20代後半のオピニオンリーダーで、25歳以下について語れる論客がいないことを憂いていた。
今回の騒動で、その対談が再注目。やり玉に挙げられた古市氏は、ツイッターで「てか、例の件、僕は対談記事の見出しに名前を使われただけで、一切関係ありませんから!飛び火もまじでいいところだ。。。」と困惑している。
A氏は10月31日、同じく「東洋経済オンライン」の企画で、評論家の常見陽平氏とも対談していた。常見氏は23日のブログで、今回の騒動で見解を求められたり、一部で「あいつを持ち上げやがって」「取り上げたお前も悪い論」などがあると説明。そのうえで、A氏について、「正々堂々と『●●●●(※編注:A氏の実名)、意識高く、政治を考えるサイトつくりましたぁ!』で良かったのでは」「最初から『フィクション』『ウェブサービスである』ことをうたえば良かった」などと見解を出した。
また、「この謝罪文は、何だ。『とはいえ累計約4000万人が政治に関心を持ったでしょ』と言わんばかりのものになっている」と批判する一方で、「失敗から何も学ばない、人の心をもてあそぶ『プロ若者』『御用若者』に君はなるな」と忠告している。