ミドリムシ(学名ユーグレナ)を使った商品が多様化しており、全国の大手小売チェーンなどの店頭などでも広く取り扱われ、気軽に購入できるようになっている。
「ムシ」と呼ばれるため、長く敬遠する人が多かったが、ミドリムシがもつ豊富な栄養素などに焦点があたってきているようだ。
植物と動物の両方の性質を併せ持つ
コンビニエンスストア大手、ファミリーマートは9月、ミドリムシを使ったデザートやデニッシュなど同社オリジナル商品を含む計5種類の食品を全国の約1万1000店舗で発売した。総合スーパー大手のイトーヨーカドーは10月、ポタージュやお好み焼きセット、ポテトチップスなど17種類の食品を全国の160点舗で新発売した。いずれも「ミドリムシの高い栄養を生かした食品を顧客に届けよう」との狙いだ。
ミドリムシはそもそも、昆虫ではなく、ワカメやコンブと同じ藻の一種。体長は0.05ミリ程度で、通常は池などの淡水に生息している。最大の特色は、植物と動物の両方の性質を併せ持つこと。葉緑素を持ち、植物のように光合成を行う一方、べん毛があるので動物のように動き回る。このため、動植物両方の栄養素を作り出すことができ、ビタミンやアミノ酸、ミネラルをはじめ、青魚に豊富なDHA(ドコサヘキサエン酸)など59種類もの栄養素を持つ。
さらにミドリムシは植物がもつ「細胞壁」がないため、細胞壁を分解する酵素をもたない人にとって栄養を効率的に摂取できるという。人が豊富な栄養をバランスよく摂取するには、非常に便利な存在だ。
そんなミドリムシ入りの商品が作られるようになったきっかけは、バイオベンチャー企業「ユーグレナ」が2005年、世界で初めてミドリムシの大量培養に成功したことだ。ユーグレナは大量に育てたミドリムシを粉末状にして、食品メーカーなどに提供。高い栄養に着目したメーカーがさまざまな商品開発に乗り出した。