安倍首相「議員定数削減」の約束は「反故」 たむけん「怒りのツイート」が大反響

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   衆院が解散され、選挙戦の幕が事実上切って落とされた。安倍晋三首相は「アベノミクス解散」と名付け、経済政策こそが選挙の争点だと強調する。

   だが、重要な課題はそれだけではない、国会議員の定数削減はそのひとつだ。2年前に「必ずやり遂げる」と約束したはずだったが、いまだ道半ば。解散により、約束を果たさないままこちらも「先送り」された格好だ。

「国民の事アホや思てるんやろな。残念だ」

「アベノミクス」を争点に打ち出すが、議員定数削減はどうなった
「アベノミクス」を争点に打ち出すが、議員定数削減はどうなった
野田「定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる。国民の皆様に消費税引き上げというご負担をお願いしている以上、定数削減の道筋をつけなければなりません」
安倍「来年の通常国会において、私たちは選挙公約で定数削減と選挙制度改革を行っていくと約束しています。今この場で、そのことをしっかりと約束しますよ」

   これは2012年11月14日、当時の民主党・野田佳彦首相と自民党・安倍総裁の党首討論で交わされた会話だ。この2日後に野田前首相は「約束どおり」衆院を解散、選挙では自民党が大勝して政権与党に返り咲いた。

   一方、約束された定数削減はどうなったのか。安倍政権の成立後に与野党間で協議が行われたものの難航。結局2014年6月19日、衆院議院運営委員会は、伊吹文明衆院議長の下で有識者による第三者機関「衆議院選挙制度に関する調査会」を設置し、検討をゆだねることになった。9月11日に初会合が開かれたが、11月20日の第4回会合で伊吹議長はメンバーに対して、同会で結論が出ないまま解散が決まったことを謝罪したという。調査会は休止状態となり、再開は2015年の通常国会以降となる。

   野田前首相は11月14日の講演で、2年前の党首討論に触れて「定数削減が実現していないのは重大な約束違反。強い憤りを覚える」と安倍首相の姿勢を厳しく批判した。維新の党・江田憲司共同代表も、「安倍首相は定数削減をやる気がなかった」と非難し、「議員や役人が自ら身を切る努力が必要」として、定数削減を同党の選挙公約に掲げた。

   定数削減の約束が守られなかったと怒るのは、政治家だけではない。お笑い芸人のたむらけんじさんは11月20日付のツイッターで「安倍さん、軽減税率もせなあかんやろうけど、議員の定数削減は公約にせえーへんの?」と疑問を投げかけた。さらに「野田さんと約束してたやん、それが約束で選挙したんやん! 嘘ついたらあかんって教えられたでしょ?そして子供達にもゆうたでしょ?」とたたみかけ、「国民の事アホや思てるんやろな。残念だ」と嘆いた。

「衆議院選挙制度に関する調査会」設置を「自賛」

   この「怒りのツイート」には、多くの意見が寄せられた。たむらさんは「やる!とおっしゃった事はやって頂きたい」「安倍さんは約束したんです。もし何かの理由でやらないんなら説明しなくてはいけないと思うんです」と強調。首相は削減に向けて着手はしているとの指摘にも、実現はしていないのだから今回の選挙公約でも上位に掲げるべきだと反論した。

   確かに安倍首相は、選挙の争点を「アベノミクスを前進させるか止めるか、それを問う選挙」と位置付け、定数削減については「後回し」の感が否めない。11月20日付の産経新聞に掲載されたインタビューでは、定数削減について「衆議院選挙制度に関する調査会」を設置し、議論が進んでいると自ら評価し、「大切なことは、ここでまとまったことに従っていくことだ」と述べるにとどまった。民主党政権の3年間では「一歩も、1ミリも動いていない」と批判した。自身は実現に向けて努力しているというわけだが、実現できなかった「結果責任」は免れない。

   たむらさんの指摘通り「今国会中の削減の実現」という約束が守られなかったのは事実。選挙戦の苦戦が伝えられている野党側は、これをひとつの突破口とできるだろうか。

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