キスによって口内の細菌(バクテリア)が交換されることはよく知られていることだが、その量が最新の研究によって明らかにされた。
「Microbiome Open Access Journal」に2014年11月17日に掲載された研究結果によると、10秒間のキスによって2人の口内では8000万もの細菌が交換されるというのだ。
1日9回のキスで唾液中の細菌ほとんどを共有
調査を行ったのは、オランダの微生物博物館「Micropia」とオランダ応用研究機関「TNO」の研究者たちだ。「Microbiome」の掲載内容や複数の報道によると、彼らは17~45歳のカップル21組を集め、10秒間ディープキスをさせ、その前後に舌と唾液から細菌サンプルを綿棒で採取した。
カップルのどちらかにはキスの前に乳酸菌やビフィズス菌を含むプロバイオティクス飲料(ヨーグルト飲料)を飲んでもらい、どちらの口からどれだけ細菌が移動したかを見分けられるようにした。
すると飲料を飲まなかった側の唾液中のプロバイオティクス細菌はキスの後には3倍に増加していた。その結果から、研究グループは10秒間キスする間には8000万の細菌が交換されたという計算結果を導き出した。
さらに調査ではディープキスをする頻度についても質問しており、少なくとも1日9回キスしているカップルは唾液中のほとんどの細菌を共有していることも明らかになった。
なお、キスと唾液中の細菌が密接な関係にあることが分かった一方で、舌の細菌はキスによってほとんど変化がないことも示された。
「免疫力高める効果」の指摘もあるが...
細菌が移動することは知っていても具体的な数字をもって示されたことで、インターネット上でも驚きの声とともに「2次元最強説は揺るぎないな」「キスが汚いという彼は正解ってことか」などと消極的な意見があがっている。
そもそもディープキスに抵抗感を持つ人は少なくない。10月には若手社会学者の古市憲寿さんがテレビ番組内で「唾液の交換があんまり好きじゃない」「ちょっと触るだけでいいじゃないですか」などと発言して話題になった。
マイナビウーマンが2014年5月に行ったアンケート調査でも男女503人のうち315人が「ディープキスが好きではない」と回答している。紹介されている声も「なんか菌がうつりそう」「『他人の唾液が......』と考えると無理」というものが多く、衛生面がネックになっているようだ。
もっとも、キスには細菌交換によって免疫力を高める効果があるという指摘もあり、悪い事ばかりではなさそうだ。それでも8000万の細菌という途方もない数字を知れば、より苦手意識は高まってしまうかもしれない。