俳優、高倉健さんが2014年11月10日に亡くなったことを受け、多くの著名人が追悼の意を表している。生前、交流のあった「ナインティナイン」岡村隆史さん(44)もその一人だ。
2014年11月21日放送のラジオ番組「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」(ニッポン放送系)の中で、岡村さんは高倉さんの死後初めて思い出を語った。
初対面で「高倉さんみたいな俳優になりたいです」
「高倉健さんが、お亡くなりになられました」――。番組冒頭、こう切り出した岡村さんは「なぜなのか、健さんは僕みたいなチンピラ芸人をすごく気にかけてくださっていました」と、40分間にもわたって健さんとのエピソードを振り返った。
岡村さんが初めて高倉さんと会ったのは2000年の「第23回日本アカデミー賞」の授賞式だった。この時、高倉さんは「鉄道員(ぽっぽや)」で最優秀主演男優賞を受賞。岡村さんは「無問題(モウマンタイ)」で話題賞に輝いた。
この日、岡村さんはそうそうたる役者陣に混ざっていることを「場違い」と感じていたという。そこで一か八かで「高倉さんみたいな俳優になりたいです」とコメントしたところ、周囲に失笑されてしまった。すると高倉さんだけが立ちあがり拍手してくれ、会場の雰囲気も明るくなった。岡村さんは「本当に助けていただいた」と思い返す。
さらにこの時、高倉さんは「いつか一緒にお仕事しましょう。社交辞令でもなんでもないからね」と声をかけてくれたそうだ。事実、遺作となった12年公開の映画「あなたへ」には阪神タイガースファンの男の役として共演を果たしている。撮影後に「一生懸命やんなきゃだめだよ」と励ましながらかぶせてくれた高倉さんの帽子は今でも「宝物」として部屋に飾っているそうだ。
「僕にとっては神様みたいな人」
2010年に療養のため約半年間仕事を休んでいたときも、高倉さんは岡村さんを気遣っていた。入院中、1冊の本を贈ってくれたという。
本には「このページを読みなさい」とマークがあり、高倉さんは「僕自身も迷ったときや心を落ち着かせようとするときに、ここの一文を読むんだ」と説明。岡村さんは今でも心を落ち着かせたいときには必ず本を手に取っているそうだ。
「何か困ったことあったら、いつでも連絡してこい」と気にかけ、悩んだときや復帰したときなど「節目」には手紙や電話などでアドバイスをくれた。岡村さんは、
「みなさん『寡黙で不器用でおしゃべりしない人』いうふうに思うかもわかんないですけど、ものすごいおしゃべりしはる人なんですよ。もうこっちがしゃべる隙間がないくらい、ずっとおしゃべりしてくれはって」
とその人柄を振り返る。電話での第一声は必ず「勝新太郎です」だったというお茶目なエピソードも明かした。
それでも自分から電話をかけるのは畏れ多く、「お茶でも飲んで、色々話しよう」という約束が叶うことのないまま、旅立ってしまった。岡村さんは「本当に僕にとっては神様みたいな人ですし、本当に命の恩人と思っている」と寂しそうに語った。