日本航空(JAL)が大型旅客機ボーイング777型機の代替として導入を決めている仏エアバス社のA350 XWB型機が初めて日本に飛来し、2014年11月20日に関係者向けの試乗会が行われた。
胴体に炭素やチタンといった最新鋭の素材を使ったり、英ロールス・ロイス社製の最新型エンジンを搭載したりして燃費が良くなったのが特徴。乗客からは、従来機よりも「音が静かになった」という感想も相次いだ。
燃費が777よりも25%、787よりも9%いい
エアバスでは、A350 XWBの燃費はボーイング777と比べて25%優れており、A350-900の場合、長胴型の中型機ボーイング787-9型機と比べても9%燃費がいいと説明している。
XWBは「エクストラ・ワイド・ボディ」の略で、従来のエアバス機よりも胴体の幅が広く、機内スペースにゆとりを持たせているのが特徴。A350 XWBは13年6月に初の試験飛行を終え、すでに世界39社が計750機を発注している。14年中にカタール航空に1号機が引き渡される見通しだ。
JALは3タイプあるA350 XWBのうち、標準型のA350-900型機(315席)を18機、長胴型のA350-1000型機(369席)13機を確定発注。最大25機を追加購入できるオプション契約も結んだ。19年から導入を始め、6年程度かけて777をA350に置き換える。旧日本エアシステム(JAS)から引き継いだ機材を除くとJALがエアバス機を購入するのは初めて。
車輪を下ろす「ゴゴゴ...」という音に気づかないくらい静か
今回飛来したのはA350-900型機。胴体の幅が広いこともあって、窓側座席の頭上にある荷物入れには、スーツケースを5つ収納することができる。客室の照明は完全にLED化した。最大1670万色を出すことができ、乗客の時差ボケが軽くなるように工夫した。客室内の気圧も6000フィート(約1800メートル)相当と比較的高く、2~3分に1回、客室内の空気が入れかわる。
関係者向けのフライトは11月20日12時45分頃羽田空港を出発。1時間半ほどかけて伊豆半島、富士山の南側、名古屋、伊豆大島、房総半島上空を通過して羽田空港に戻った。従来機よりも機内の音が静かで、通常は着陸直前に「ゴゴゴ...」といった車輪を下ろす音が機内に響くが、今回のフライトでは気づくことができなかった。
あいにくの天気で景色がほとんど見えなかったこともあって、乗客が「音」に注意を向けた面もありそうだ。
操縦室からフライトを見守った植木義晴社長は、フライト後に、
「非常にワイドな胴体で、ゆったりとくつろいでいただける。座席はスタンダードなものがついているが、これから我々もどういった座席をいくつぐらいつけるか検討していく。これから考え得る最高の座席をつけて、最高のサービスでお迎えしたい」
などと話した。
A350 XWBは、現時点では5機生産されており、そのうちの1機が11月19日に韓国から羽田空港に到着。11月21日にはベトナムに向けて出発し、タイ、マレーシアを経由してフランスに戻る。