衆院解散が目前に迫るなか、皮肉にもみんなの党も「解散」する見通しになった。
みんなの党では与党に歩調を合わせるか、他の野党と共同戦線を張るかで新旧代表の対立が続いている。浅尾慶一郎代表は民主党との合流に前向きだが、与党との連携を模索する渡辺喜美前代表は「阻止します」と断言。渡辺氏に同調する形で民主党との合流に反対する議員から「解党論」が噴出しており、これを受けて浅尾代表も2014年11月18日に「(党が)存続することにはならない」と発言。解党論を押しとどめることができなかった。
松田議員「断腸の思いですが、みんなの党は解党しかありません」
渡辺喜美前代表は民主党との合流には断固反対の立場で、2014年11月15日には、
「合流するというのは、早い話が民主党に身売りをして、みんなの党を消滅させちゃおうということですからね、こんなことは絶対にありえない話で、阻止します」
と言い切っていた。だが、執行部の態度は変わらず、11月16日には中西健治政調会長が民主党の福山哲郎政調会長と会談。議員定数の削減や格差是正をはじめとした共通政策の柱について大筋で合意するなど、合流に向けた動きを加速させてきた。
これに反発する形で噴出したのが解党論だ。11月17日には、松田公太参院議員が
「断腸の思いですが、みんなの党は解党しかありません」
と題してブログを更新。民主党との合流話について
「私は、ここまで来たら、行きたい人は行けばよいと思っています。それを阻止する気持ちはありません。しかし、考え方の違いや選挙区事情などで、行きたくない人もいるわけですから、その人たちには自由を与えるべきなのです。そう考えると、もう解党しか道はありません」
とつづった。
みんなの党は、衆院議員8人、参院議員12人をかかえている。松田氏以外の所属議員からも、ソーシャルメディアを通じた解党論をめぐる発言が相次いでいる。党内で解党を求めて行われた署名活動について触れる議員も複数いたが、民主との合流について賛否を表明している議員はほとんどおらず、解党後に勢力図がどのように変化するかは現時点では見通しづらい。
解党論の実態が分かれば「益々政治不信を招くだけ」という声も
柏倉祐司衆院議員は、フェイスブックで自らは署名していないことを明かした上で、署名を呼び掛けている人をけん制した。
「彼らは党の状態に鑑み、各人の行く道を各人の判断に委ねる環境を整えてやること=解党が執行部の責務であると訴えている。分かりやすいが、最終的には執行部が判断するべきものであって、周りが外堀を埋めるようなことはすべきではない」
三谷英弘衆院議員は、ツイッターで
「今進んでいる解党論。その実態が明らかになれば、益々政治不信を招くだけになりますよ」
と、解党論のそのものを批判。山内康一衆院議員は、野党で共闘したり合流したりする際には、相手を選ぶべきだとブログで主張した。
「自民より右の野党とは、協力はしないで、選挙区でつぶし合わない程度というのが、ほどよい距離感だと思います。単なる数合わせの野党再編成であれば、有権者に見放されると思います。理念や政策がある程度一致することが、野党共闘や野党結集の最低条件です」
さらに、中島克仁衆院議員は、署名への賛否は明らかにせずに、
「衆議院解散が迫る中、様々な判断が求められる状況で、私も決断の時だと考えています」
と思わせぶりなツイートをしている。