やしきたかじんさんと妻さくらさん、2人の物語を作家の百田尚樹さんが書いたノンフィクション『殉愛』をめぐるゴタゴタが続いている。
「美談すぎる」内容の真偽に続き、たかじんさんが残したという膨大なメモの筆跡、さくらさんの前夫との関係など、次々に「疑惑」が浮上。元弟子の打越元久さん、作詞家の及川眠子さんが相次いで証言ツイートを投稿、これに対し百田さんも反論している。
元弟子「筆跡が違うのは明らかですよ!」
オリコン週間BOOK総合ランキング(2014年11月17日付)で1位を獲得するなど、売り上げは好調の『殉愛』。しかし、当初から、2人のフェイスブックを通じた出会いや、たかじんさんの闘病を支えるさくらさんの献身ぶりなど、あまりの美談ぶりに「これって本当なの?」という声が出ていた。
新たに浮上した疑惑の1つが、『殉愛』の表紙にも使われている、たかじんさんが残したという膨大な自筆メモが偽書だというものだ。百田さんはこれらを資料に執筆したとしているが、生前のたかじんさんの筆跡と異なる、という指摘がファンから出ているのだ。
たかじんさんの代表曲『東京』の作詞を手がけた及川さんは、
「表紙に感じたすっごい違和感。なんでだろーと思っていたが、はたと気付いた。たかじんってあんな字を書いたっけ?もっと読みづらい変ちくりんな字だった記憶が...。病気になると筆跡まで変わっちゃうのかな?」
と16日のツイッターで疑問を呈した。
80年代に弟子をしていた打越さんは18日のツイッターで「やしきがファンクラブの会報に自筆で掲載していたページです。筆跡が違うのは明らかですよ!」と、会報誌の写真を投稿。さらに、個人あてでもらった手紙の写真も掲載している。これらの写真を見ると、かなりクセのある読みにくい文字だ。
打越さんは「やしき師匠の筆跡をお持ちの方は投稿しよう!資料は沢山あった方が良いのかな」と呼びかけ、すでにファンからサイン色紙が提供されている。
百田「重婚の事実はない」と否定
もう1つは、さくらさんの「前夫との関係」だ。たかじんさんとさくらさんが結婚したのは2013年10月。たかじんさんが亡くなるわずか3か月前だ。
さくらさんは09年にイタリアへ渡り、ネイルサロンを立ち上げた。『殉愛』では、11年、一時帰国した際にたかじんさんと出会い、交際に発展したとされている。
しかしネットではさくらさんのものとみられるブログなどから、現地で出会い、結婚していたイタリア人男性との式の様子が「発掘」されている。イタリアでは数年の別居期間がないと離婚が認定されないといわれることから、この男性とたかじんさんと結婚していた時期が重なっていたのではないか、という「疑惑」が持たれているのだ。
こうした疑問に対し、百田さんは「多数の質問が寄せられたので書く」とツイッターで反論を展開。「たかじんの妻にはイタリア人男性との結婚・離婚歴がある(日本で入籍、離婚)」と認めた上で、「しかし一部ネットで言われている重婚の事実はない」と否定した。
百田さんの投稿によると、さくらさんはたかじんさんと出会う1年前から離婚を協議し、たかじんさんにも相談していた。しかし、本のメーンテーマではなく、またプライバシーの面から、「迷った末に書くのをやめた」という。
百田さんは「本に離婚歴を書かなかったというだけで、ネット上では『とんでもない悪女』という評判が立った。すべては私のミスである。以上!」と幕引きをしているが、依然としてネットではあれこれ取りざたされている。