エコノミストは経済学者ではないし、忙しすぎる?
とはいえ、2014年7~9月期の国内総生産(GDP)をみて、エコノミストらの見立てが「こんなに狂うのか」との印象をもった人は少なくないだろう。しっかりデータをみていたのだろうか――。
そもそも7~9月期のGDPを、エコノミストらは平均2%台のプラス成長を見込んでいた。日本経済研究センターが11月12日に発表した、民間エコノミスト42人の景気予測をまとめた「ESPフォーキャスト調査」(11月分)によると、GDP成長率(実質年率)を平均で2.47%と予想していた。
それでも、10月調査の3.66%増から引き下げ。8月の予測では4.08%増と、4~6月期(7.1%減)から、かなりの持ち直しを見込んでいたが、その後はもう毎月のように下方修正してきたのだ。
経済アナリストの小田切尚登氏は、「エコノミストといっても、独自に豊富なデータをもっていたり、特別な分析方法があったりするわけではありません。経済学者ではありませんしね。さらにはマスコミの取材や投資家へのレポートの配信など、忙しすぎることもあります」と、精度の高い予測ができない事情を話す。
「どのエコノミストも会社勤めであれば、会社の看板を背負っていますし、ある意味、宣伝マンと同じような役回りがあります。そのうえで、まず自らの立ち位置というか、旗色をはっきりする必要があります。自らの主張に、政府などが横やりを入れるようなことはありませんが、他と比べて目立つことより、マーケットに迎合してしまうことが多いということはいえるかもしれません」
ちなみに、前出の「ESPフォーキャスト調査」(11月分)によると、14年10~12月期GDPの実質成長率の平均は2.51%と予測。当面は「緩やかな景気回復基調が続く」との予想が大勢を占めた。