赤旗は謝罪・取り消し、TBSは「番組全体としては偏っておらず特段問題ない」
一連の報道について、西日本新聞は朝日新聞が吉田証言関連記事の取り消しを発表した直後の2014年8月7日に、同社の見解を掲載している。
「1990年代初めに共同通信配信の記事を含め『訪韓して元慰安婦に謝罪』『国会の参考人招致見送り』などの記事を掲載しましたが、その後、吉田氏の証言に疑義が呈されたため、以降は吉田氏の証言に基づく報道はしていません」
8月5日の朝日新聞の検証記事では、他紙の報道にも言及している。この記事の中で、毎日新聞は過去の報道について
「いずれの記事も、その時点で起きた出来事を報道したものであり、現時点でコメントすることはありません」
とコメント。
産経新聞は朝日新聞の特集記事の中で、
「当該記事では、吉田清治氏の証言と行動を紹介するとともに、その信ぴょう性に疑問の声があることを指摘しました。その後、取材や学者の調査を受け、証言は『虚構』『作り話』であると報じています」
と反論している。
読売新聞は朝日新聞の取材には回答しなかったが、朝日の検証記事について報じる8月5日の記事には自社コメントが載っている。
「今回の朝日新聞の特集記事に関し、朝日新聞社から、本紙の過去の記事について、現時点での認識を尋ねる質問がありました。しかし、報道機関による自らの検証作業と、他の報道機関に過去の報道についての見解を求めることは全く別の問題であるため、回答を控えました」
これ以外にも、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」も9月27日の紙面で、1992年から93年にかけて3回にわたって吉田氏の証言や著書を取り上げたとして、記事を取り消して謝罪した。
TBSテレビは2014年10月1日の社長定例会見で、「報道特集」で1984年と91年の2度にわたって吉田氏のインタビューを放送したほか、92年の訪韓もニュースとして取り上げたことを明らかにした。ただ、石原俊爾社長は、吉田氏の証言は「複数ある証言の一つとして使った」として、「番組全体として偏っているとは思っていない。特段の問題があるとは考えていない」としている。