西日本「朝鮮人慰安婦を日本に強制連行してきた日本側の『生き証人』」
今後注目されるのが、他紙の対応だ。道新が記事を取り消すことになった国会招致やソウル訪問の件は、他紙も報じているからだ。
例えばソウル訪問は、少なくとも西日本新聞、毎日新聞、中日新聞の3紙が記事化している。西日本新聞(1992年8月13日)によると、吉田氏は元慰安婦の女性を前に
「(慰安婦狩りは)50人ぐらいの日本人警察官が韓国人の警察官を引率して村を回る。村は泣き叫ぶ声でパニック状態になる」
「あなたの前で土下座しておわびしたい」
などと話したという。
国会招致の試みは、やはり西日本新聞が92年3月5日、3月22日の2度にわたって報じている。3月5日の記事では、吉田氏を
「朝鮮人慰安婦を日本に強制連行してきた日本側の『生き証人』として、衆院予算委員会で初めて当時の状況を証言することになっていた元山口県労務報国会運動部長、吉田清治さん(78)=千葉県在住=」
と、かなり長い「枕詞」つきで紹介し、3月22日の記事では、吉田氏の参考人招致が自民党の反対で見送られたことを批判する論調を展開した。
「わが国の『負の歴史』を日本人の手で国会の場で明らかにするものとして注目された吉田さんの参考人招致だったが、元慰安婦による損害賠償請求訴訟への影響や「日本の体面」にこだわる自民党の抵抗は、予想以上に強かった」