「近頃の若者」よりも「近頃の年寄り」を検討すべき
ただし、「近頃の若い奴らは・・・」と語られ、若者の将来を憂う事はいつの時代にもあったわけだが、ここのところ、若者だけでなく中高年のマナーや礼儀、モラルの低下を指摘する声が大きくなって来ているのも確かだ。
国際政治学者で慶應義塾大学法学部の田所昌幸教授が13年11月3日付けの読売新聞に『「昔はよかった」と言うけれど』(大倉幸宏著)の書評を書いていて、
「近年の若者は一般に礼儀正しく、公共の場所でのマナーもよいのに対して、むしろ傍若無人なのは、親父世代に多いように思えてならない」
と論じている。いろんな窓口で若い担当者に苦情を言っているのは比較的年配の女性が多い印象だし、電車内で田所教授にいつも絡んでくるのは団塊の世代の男性なのだそうだ。この団塊の世代も「最近の若い者は」というセリフをさんざん聞かされた。若者のマナーやモラルの低下について識者は、都市化や近代化が原因だと結論付けてきたが、果たしてそうなのか、と疑問を投げかけ、
「元気のいい高齢者が増えた現代では、『近頃の若者』より、むしろ『近頃の年寄り』の方を検討してはどうかしら」
などと提案していた。今回の投書をめぐる議論を通し、田所氏の提案や指摘にあらためて注目が集まりそうだ。