日本人は閉経前でも肥満で乳がんリスク増
一方、日本でも2014年10月、独立行政法人国立がん研究センターが日本人女性を対象にした肥満と乳がんとの関連について調査報告を発表した。この報告によると、閉経前後ともにBMI(肥満度)が大きくなると乳がんリスクが高くなり、閉経前ではBMI最大群(30以上)でのリスクは基準値(23以上25未満)の2.25倍になったという。また閉経後では、BMIが1上がるごとにリスクが5%上昇するという関連性も見られた。
同センターによる最新統計によれば、乳がんは女性のがん罹患数の部位別ランキングで1位(2010年)。罹患率は10万人に対し130.6人で、生涯に罹患する割合は12人に1人だ。
「日本で乳がん患者が増えている理由は、食生活の変化や飲酒による影響もありますが、初潮が早まり、閉経が遅くなったこと、初産年齢が上がったこと、出産や授乳経験のない女性が増えたことなど、社会的な変化が挙げられます」と話すのは、近畿大学医学部教授で、抗加齢医学を専門とする山田秀和氏。
「意外と知られていないことですが、欧米人と比べ、日本人にはデンスブレストと言って乳腺の濃度が高い女性が多い。これも乳がんの重要なリスクファクターです。また、身長が高い人や骨密度が高い人も乳がんになるリスクが高いと言われています」。一般に、体型がしっかりしていて骨密度が高いことは健康長寿の条件と考えられるが、乳がんリスクを高めることは認識しておきたい。