「鉄腕アトムの信号機」、楽しみながら探すはずだったのに... 朝日新聞がなぜか設置場所を明かしてしまった!!

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   朝日新聞の記事を巡り、「ええ」「なぜ」という疑問の声が挙がっている。

   神奈川県が「さがみロボット産業特区」をアピールするためにイメージキャラクター「鉄腕アトム」の歩行者用信号機を設置したと記者会見を行い、設置場所はあえて公表せずゲーム感覚で「家族で楽しみながら探してほしい」と呼び掛けた。新聞各紙はその意向を汲んだのだが、朝日新聞だけは見出しと本文でその場所を明かしたからだ。

ロボット産業特区を巡ってもらいPRをする企画だった

「ネタバレ」の背景にあった深いワケ(画像は「鉄腕アトム信号機」 神奈川県のホームページより)
「ネタバレ」の背景にあった深いワケ(画像は「鉄腕アトム信号機」 神奈川県のホームページより)

   神奈川県の相模原市、藤沢市など10市2町が2013年2月に「さがみロボット産業特区」に指定され、高齢化や自然災害から県民の「いのち」を守るため生活支援ロボットの実用化や普及を進めている。キャラクターには「人間の命を守る」というイメージから鉄腕アトムが採用された。そして知名度アップに繋げようと設置されたのがアトムの歩行者用信号機。赤がアトムの立ち姿、青が歩く姿というデザインになっている。設置したのは14年11月11日で、神奈川県はこの日メディアに対してプレスリリースを配布し、定例記者会見で黒岩祐治・神奈川県知事が信号機について説明した。県の広報グループは信号機の設置場所について、

「記者発表資料や知事の会見の際にも設置場所はあえて公表しませんでした。設置場所のヒントをお知らせして探してもらおうという内容の発表だったんです」

と説明した。プレスリリースを読むと、

「ここでしか見られない、特区オリジナルの『鉄腕アトム信号機』です。ぜひ、皆さんで探してみてください」

と書いている。なぜ公表しなかったのか。信号を設置した県の産業振興課は、

「信号機を見つけることを楽しんで欲しい、という企画です。特区内を巡っていただくことで特区のことをより知っていただけますし、当方としてもいいPRになると捉えています」

という思いがあったのだそうだ。こうした意向を汲んで11日付けの各新聞(電子版)は、「場所は秘密...『鉄腕アトム』の信号機、ヒントは」(読売新聞)、「信号の中にいるアトムを探せ!さがみロボット産業特区」(産経新聞)、「鉄腕アトムの信号機:どこにある?神奈川県がヒント公表」(毎日新聞)という見出しを掲げ、記事内でも場所は書かなかった。

   しかし、朝日新聞は「赤信号と青信号に鉄腕アトム 神奈川・藤沢の公園に登場」とし、記事に「藤沢市の辻堂海浜公園内に設置した」と明記した。また12日付けの神奈川県版朝刊には「ゆくぞ、アトム信号機 辻堂海浜公園で会えるよ」という見出しを躍らせた。

「ごめんなさい。場所は隠してください。お願いします」

   これらの記事を読み比べた人たちは、ネタ晴らしをしたといえる朝日新聞の記事に対して怒りが込み上げてきたようで、

「クイズなのにネタバレしてていいんですか、、、他社はちゃんとしてた」
「探すのを楽しみにしていた人がいたのに、おかげで楽しみがなくなったと思う」
「設置場所を探しましょう!という心温まる企画なのに、鬼の首取ったようにバラすとは、本当に愚かで浅はか。何がしたいんだ朝日は、恥を知れ!」

などといった意見がツイッターなどに書き込まれた。

   いったいどうして朝日新聞はこうした記事を書いたのか。11日の記者会見に出席したある記者が真相を明かした。知事の記者会見の際には、事前に資料が配布される。実は、その資料に信号機の設置場所が記載されていた。県広報のミスで、担当者があわててやって来て、「今回は信号機を探すのがテーマなんです。ごめんなさい。場所は隠してください。お願いします」などと平謝りに謝った。

   朝日の記者もこうした事情を知っていたのは間違いない。

   広報担当者の姿を見て同情したのと、発表の内容が「報道の公共性」などという硬い話ではないこと、さらに信号機の場所を書かないで記事を作った方が面白くなるのでは、などといった判断から、各社の記者たちは場所を書かないことにした。

「朝日さんもその場所にいたんですよね。それなのに信号機の場所が書いてある、一社だけ。どうして書くことになったのかはわかりませんが、私たち他社の人間は面白いはずはないじゃないですか!」
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