プリクラ写真のようにつるつるした肌だったり、高齢者が30代のように生き生きと見えたり。最近は、加工しすぎるなどして別人のようになった選挙ポスターが、ネット上で度々話題を集めるようになっている。
「いつごろかは何ともいえませんが、最近撮影したものではないですね。フォトショップを使ったかは、石原事務所から提供を受けたので分かりません」
ポスターの石原慎太郎氏写真、若すぎるのか
「次世代の党」の新ポスターに使われた石原慎太郎衆院議員(82)の写真について、党の広報担当者は、取材にこう明かす。
ポスターでは、平沼赳夫党首ら(75)ら8人の写真が使われ、最高顧問の石原氏の顔はその中央左にやや大きめに写っている。次世代の党が2014年11月11日にこのポスターをフェイスブックなどで公開すると、ネット上では、「石原親分 若すぎ(^O^)」「修正のしすぎなのか...」といった感想が次々に上がった。
確かに、髪の量が多く、肌はつやつやして若々しい印象で、とても80代の石原氏には見えない。次世代の党に取材すると、前述のように、もう少し若かったときの写真だったようだ。
これは党のポスターだが、選挙ポスターでも最近、「別人のように見える」と指摘されるケースが度々出るようになった。
2012年12月の東京都知事選では、当時66歳だった猪瀬直樹氏のポスターが注目を集めた。「決断、突破、解決力」とキャッチフレーズがうたわれたポスターの写真では、普段の猪瀬氏とは明らかに違う顔のつやがあったからだ。ネット上では、「一気に若返ったなw」「プリクラ写真みたい」といった声が上がり、写真を加工したとすればやり過ぎではないか、といった疑問が多かった。
また、13年7月の参院選でも、当時43歳だったある政党の女性候補について、ネット上で同様の指摘が出た。「20ぐらい若返らせてるなw」「フォトショップって凄いんやね・・・・」と驚きの声が出る一方で、公選法などに触れないのかといった声も上がっていた。
総務省「公選法では、規制はありません」
投票にも影響が出かねない選挙ポスター写真の加工などは、どこまで許されるのだろうか。
総務省の選挙課では、取材に対し、「公選法では、ポスターの内容についての規制はありませんので、加工についての基準もないです」と答えた。公選法第235条には、身分や職業、経歴を偽る虚偽事項の公表罪が規定されているが、写真については明確ではない。加工などの悪質なケースがこれに適用できるかについては、「最終的には、警察の判断になると思います」としている。
写真は、どのくらい前に撮影したものまで許されるかについては、「公選法上の要件はありません。以前、子供のころの写真を使った候補者もいたと聞いています」という。
都知事選で使われた猪瀬直樹氏のポスター写真のことを都選管に聞くと、選挙課では、「問題視されたとは特に聞いていませんし、選管から内容について指導する立場ではないです」との答えだった。
法的規制などがない以上、年末に予想されている総選挙でも、同様な「別人」騒ぎが起きる可能性がありそうだ。
ちなみに、前出の次世代の党ポスターのうち、夕日バージョンについては、石原慎太郎氏の弟の故・裕次郎さんが出演したテレビドラマ「西部警察」のポスターに似ているとネット上で話題になっている。党の広報担当者は、「それだけを意識して作ったわけではありませんが、公開日だけで『もらえるんですか』などと20件も問い合わせの電話がありました」と明かす。ただ、解散・総選挙になれば、公選法上、ポスターは使えなくなってしまうそうだ。