牛丼チェーンのすき家は「牛すき鍋定食」の販売を再開する方向のようだ。ゼンショーから正式発表はされていないが、すでに一部店舗では先行販売の形でメニューに導入されている。
このメニューは従業員の負担が大きく、ボイコットを引き起こす一因となった。ネット上には、早くも従業員の悲鳴が上がっている。
「鍋の乱はじまってます」
「牛すき鍋定食」は、ライバル吉野家が販売した「牛すき鍋膳」を追いかける形で2014年1月に販売が開始された。しかし、仕込みや調理など作業が多く、昼食などピーク時には店内で混乱を起こす原因になった。一部のアルバイトはわざと休むなどしてシフトに穴を空け、「鍋の乱」と言われるボイコットを呼びかける事態にまで発展した。
ワンオペ(一人勤務)騒動で労働環境改善のため立ち上げられた第3者委員会の報告でも、「クルーや現場社員のサービス残業・長時間労働が増加し、現場は疲弊した」と指摘を受けた。
販売再開については10月末に2ちゃんねるの掲示板で、「やっぱり鍋やるんじゃねーか」「鍋やるとか馬鹿じゃねーのか」といった、従業員らによる書き込みがあった。発売日について「鍋は先行導入10日 通常27日からです」と具体的な書き込みもある。実際に記者が回った都内数店舗のうち1店舗で、14時から翌5時までの時間限定で販売されていた。
一部従業員には前回のトラウマがよみがえったのか、早くも、
「大学忙しくなるから今年度いっぱいでやめるつもりだったけど鍋やるなら今月いっぱいでやめるわ」
「鍋開始の27日は休むよ」
「今月末から全国展開ってことでいいのか?そしたらもう来週から全部有給使ってそのまま辞めるんだが」
といった声が出ている。さらには「鍋の乱はじまってます 鍋開始日のシフトが全穴」という書き込みもあるほどだ。
ゼンショー「本格展開までに店を回せる体制を整える」
J-CASTニュースの取材に対し、同社広報は全国販売の具体的な時期は明らかにしなかったが、「現在、一部店舗で先行販売を実施しています」と認めた。
従業員からの反発については「一部の従業員には抵抗感があるかもしれないが、前回の反省を踏まえ、店舗での仕込み作業をなくすなど負担軽減を進めた」と話す。「現在、実施している先行販売の様子などを慎重に見極めて、マニュアル作りに生かす。本格展開までに店を回せる体制を整える」と説明した。
実際に注文した際も、肉を煮るのは客に任すなど調理が簡略化されていることは分かった。ただ、ネット上には
「バックの負担はかなり軽減されてるがあくまでも当時の鍋と比べての話でやはり手間はかなり多い」
「鍋の仕込みは野菜が1食ずつパックになったのと生肉で提供するってだけで他の手間はあまり変わらず」
「鍋のコゲが取れなくてイライラ」
といった従業員の不満が書き込まれている。記者が訪れた店舗の従業員も「昨年よりは楽になった。でもまだ手間は多い」と話した。