指摘されなかった羽生結弦の胸の内 「練習中のケガ」に何を思ったか

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集中力を高めて自分の世界に入る時間

   聞くところによると、競技前の練習で選手同士が接触するのは、ときおりあるのだという。競技に差し支えないところから問題にならなかったらしい。ただ羽生のようなケースは本当に稀(まれ)なのである。

「あの練習は、選手は集中力を高めて自分の世界に入る時間。だから他の選手が見えなくなる」

   経験者の言葉である。あの広い場所で数人の選手しか滑っていないのに、なぜ他の選手の動きが分からないのかと思ったが、そのような時間帯であることなら理解できる。

   羽生は帰国して検査を受け、2か所を縫った。心配された脳の影響はないと診断された。不幸中の幸いである。

   もし、脳震とうを起こした状態で競技をした場合、恐ろしいのは将来に影響が出る危険性があるという。羽生は会場で医師の診断を受けてから競技に踏み切ったとされている。

   勝負に臨む選手は練習も試合のうちと考えなければならない。つまり試合前に負傷しては元も子もなくなるからだ。おそらく羽生は、自分の不注意、と思っていることだろう。それを指摘する関係者はほとんどいなかった。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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