トヨタ、下請けに値下げ要求せず 政府に言われる前に手を打った?

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来春闘で部品メーカーも賃上げか

   トヨタのティア1各社は、足並みをそろえて同じ日に名古屋で中間決算を発表するのが通例だ。今年はこれが10月31日で、部品値下げ凍結について記者会見で各社、質疑があった。

   デンソーの加藤宣明社長は「(トヨタから)値下げを見送ってもらった分はすべて還元する」と表明。ただ、一律に値下げを見送るのではなく、デンソーの1000社にのぼる部品調達先のうち、経営体力の弱い400社程度を対象にするという。加藤社長は「トヨタの判断は日本の自動車産業の基盤を維持するため」とも強調した。

   アイシン精機の藤森文雄社長も「仕入れ先の体力が弱まれば、当社の体質も弱体化する」と述べたうえで、「値下げ要請を見送る方向で検討したい」と明言した。このほか豊田自動織機、ジェイテクト、豊田合成といったティア1の中核的位置を占める各社も同様に値下げ要請を見送る方向であることを明らかにした。

   トヨタの目論見通りに円安に苦しむ下請けメーカーに値下げ凍結の恩恵が及べば、来年の春闘で賃上げが広がる可能性もあり、「トヨタ社員の懐だけ潤う」との不公平感を緩和することも期待できる。ただ、乾いたぞうきんを絞るようにコストを下げる「カイゼン」で体力を強化するのが、トヨタグループのお家芸でもあり、値下げ要請見送りでカイゼン機運が緩まないか、心配する向きもある。

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