学生は「失敗したら...」という思いが強い
茂木健一郎氏や鴻上尚史氏の言いたいことも、わからないではない。たしかに、画一的なリクルートスーツで身を包んだ数百人もの学生が、会社説明会や面接、さらには入社式で並んだ姿を想像すると、どこか怪しく、不思議に感じるという人は少なくないだろう。
とはいえ、実際に就活生に「会社の面接に、どんな服装で行ったらよいか」と聞かれたら、大学や親のみならず、多くの人が「紺や黒のスーツ」を着て行くよう勧めるに違いない。
フリーライターの赤木智弘氏は2014年11月8日付のBLOGOS「画一的なリクルートスーツをくだらなく思っているのは誰か」の記事で、「仮に僕が就活生から着ていくものの相談を受けたとしたら、どう答えるか。それはもちろん『黒か紺系のスーツを着ていけ』である」と書いている。
最近は「私服でお越しください」「普段着でどうぞ」といった企業も増えてきたが、就活に詳しい石渡嶺司氏は、「ほとんどの学生がリクルートスーツですね。理由はやはり無難だから。私服で行って、『もし場違いだったらどうしよう』とか、『マイナスの評価を受けるのでは』などと考えるのであれば、スーツで行こうというわけです」と話す。
20~30年前は、学生服やブレザーにスラックス姿で会社説明会や面接を受ける就活生がいたし、企業もそれを容認していた。ただ、「いまの企業がそれをまったく許さないというのではなく、学生側が『失敗したら、怖い』という思いが強いから、無難なほうを選ぶんです」と、石渡氏は説明する。