新潟県佐渡市で2014年11月7日、ドンという大きな音がして建物が揺れた、といった通報が相次いだ。しかし、地震などはなく、市の消防本部や警察がパトロールしても事故や事件につながるようなものは発見できなかった。
こうした原因不明の爆音と揺れは日本中で報告されている。キーワードとしていつも登場するのは戦闘機が飛行中に出すソニックブームと呼ばれる衝撃波なのだが、佐渡市のケースでも「音が出るような航空はしていない」と自衛隊は話している。これは「怪奇現象」なのか。
自衛隊のレーダーにも原因となるものは映っていない
市の防災危機管理室と消防本部の話によれば、爆発音のような大きな音がして建物が揺れた、との通報があったのは午後4時前で、市役所に20件、消防本部に5件寄せられた。さっそく市内のパトロールを行い人や建物への被害が無いことは分かったが、原因も確認できなかった。新潟地方気象台に問い合わせてみても地震や火山噴火などは観測していないという答えだった。自衛隊のレーダーがある佐渡分屯基地にも聞いたが、衝撃音や揺れにつながるような航空はしていないし、レーダーにも原因となるようなものは映っていなかった、との返事が返ってきたという。
防災危機管理室の担当者は、
「今回のような爆音と揺れに関する通報で騒ぎになったのは初めてだと記憶しています。真野湾あたりから通報が多く、佐渡全体で起こった事ではないようです。ちなみに私は音も揺れも気が付かなかった」
と話している。
実はこうした「怪奇現象」、日本中で報告されている。12年5月3日付の南日本新聞によれば、5月1日夜に鹿児島県霧島市隼人などの市民から20件以上もの「爆発音や大きな揺れを数回感じた」という情報が霧島署や市の消防局に寄せられた。調べたところ爆発事案は確認されず、桜島や新燃岳の噴火もなかった。小規模地震は発生していたが震度1以上の観測はなかった、という。13年3月23日付けの 山形新聞でも金山町で3月21日の夕方に、衝突音のような大きな音が聞こえたとの通報が警察や町役場に多数寄せられた、と書いている。何が原因はわからず謎は深まるばかりだという。一体原因は何なのか。
「全く原因が分からない状況です」
南日本新聞では原因として、「小規模でも震央近くであれば、揺れを感じることがある」といった地元気象台のコメントを引用し、地震説を唱えている。ただし、こうしたことが起こると決まって取り沙汰にされるのが戦闘機の超音速飛行によって引き起こされる衝撃波、ソニックブームだ。ソニックブームは爆発音のような大音響により空気を揺らし、地上の建物に影響を与える。実は佐渡での一件でも「超低空を不明の戦闘機が飛行していたとの目撃情報がある」などといったものや、石川県の小松基地で日米共同訓練があり戦闘機を飛ばしていたようだ、といった不確かな報告がネット上に出ることになった。
先の山形新聞でも、
「音が聞こえてすぐに外に出て空を見たら雲間に灰色のような飛行機が一瞬見えた」
という目撃証言を掲載している。ただし国土交通省と自衛隊は目撃時刻に周辺を飛ぶ民間機も、自衛隊機もなかったとコメントもしている。
佐渡市の防災危機管理室に戦闘機との関係を質問してみたところ、
「ネット上であれこれ原因の詮索が行われていることは知っておりますが、自衛隊は音が出ない航空をしていると説明していますし、全く原因が分からない状況です」
と繰り返すばかりだった。