「選手を命の危険から守るのが競技会側とメディア」
スポーツ界からは「周囲が棄権させるべきだった」という指摘も複数出ている。特に言及されているのが「脳振とう」の影響だ。
脳振とうは脳が急激に揺れ動かされて起こるもので、一時的な意識喪失や記憶喪失のほか、めまい、ふらつき、頭痛、吐気など、さまざまな症状が現れる。相手選手との接触が多く、脳振とうを起こしやすいスポーツ(サッカーやラグビー、柔道)ではガイドラインや判断基準を設けている。
バルセロナ五輪柔道銀メダリストの溝口紀子さん(43)は8日、ツイッターで「羽生選手、脳震盪起こしていないでしょうか?柔道やラグビーでは本人の意志があっても脳震盪がある場合は試合にでれません」と言及。9日には、
「羽生選手や中国選手が負傷しながら特に脳震盪の可能性があるのに、指導者や連盟は、本人の意志を尊重し、出場させたというのは言い訳。脳の加速損傷やセカンドインパクト事故を知らないからこそ無責任にいえること」
と指導陣や日本スケート連盟の対応を問題視した。その上で「これはもはやスケート界だけでなくスポーツ界全体で脳震盪ガイドラインを徹底すべき」と訴えている。
元400メートルハードル日本代表の為末大さん(36)も8日、「メディカルチェックしたんだろうか」とツイート後、脳振とうに関するページを紹介。
「気持ちの強い選手はどんな状況でもいくらでも頑張ろうとするわけだから、選手を命の危険から守るのが競技会側とメディアだと思う」と指摘し、「まずは検査して安静にするように運営側が対応してほしい。それから検査の結果どうだったかを教えてほしい。その上でできればこういう場合の正しい対応の仕方も報道して欲しい」と求めた。