自民党内にも慎重論がくすぶる
観光客が集まれば雇用も生まれ、地域経済が活性化するとして、各地が意欲を見せており、政府が大阪市、沖縄県、横浜市の3カ所を認定第一陣として想定しているとの報道もある。大和総研は、この3カ所に開設した場合、経済波及効果は計7.7兆円に上ると試算。ちなみに、石原慎太郎都政時代は意欲的とされた東京都は、五輪関連施設の整備を優先していて、舛添要一知事も消極的なことから、仮に合法化されても第1号認定からは外れる見通しだ。
一方、カジノは、周辺の治安悪化や資金洗浄(マネーロンダリング)の温床になる恐れがあるといったマイナス面が付きまとう。特に懸念されるのがギャンブル依存症の問題。折しも厚生労働省の研究班は8月、依存症の疑いがある人が成人の5%弱にあたる536万人に達するとの推計を発表したが、他国と比べても高い水準だといい、合法化反対の主要な論拠になっている。
このため、与党でも自民党内に慎重論がくすぶるほか、公明党は慎重論が大勢。自治体では、大阪市の橋下徹市長が誘致に意欲を示せば、お隣の兵庫県の井戸敏三知事が反対を明言、両者が会見などで互いに批判し合うなど、自治体間の温度差も大きい。世論の風当たりも強く、「毎日」の世論調査(10月18、19日実施)では、カジノ法案「反対」が62%に達し、「賛成」の31%のダブルスコア。特に、男性の反対が56%なのに対し、女性は67%が反対と、女性の拒否反応が強い。