中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスが、本場・中国から撤退する。
焼き餃子や「ハネ付き」、水餃子にスープ餃子と、日本の食文化にすっかり溶け込んでいる「ギョーザ」だが、日本流の味は「中国では受け入れられなかった」(王将フードサービスの渡辺直人社長)という。いったい、なにが違ったのだろう――。
「焼き餃子」へのこだわりが裏目に...
「餃子の王将」といえば、国内では全国にフランチャイズを含めて670か店超を展開する中華料理チェーン。その一番の「売り」はもちろん、ギョーザだ。
そんな「餃子の王将」を運営する王将フードサービスが、本場・中国に進出したのは2005年1月のこと。子会社の王将餃子(大連)餐飲有限公司を、大連市に設立。一時は6店舗まで増やしたが、進出後の10年間で2億3700万円の赤字を計上するなど経営が思うようにいかず、2014年10月31日に現地子会社の解散を発表した。
現地では現在もなお3か店で営業を続けているが、「手続きが終われば(店を)閉める予定です」という。中国撤退の要因はどこにあったのだろう。
渡辺直人社長は記者会見で、「日本の餃子の味が、中国では受け入れられなかった」と話した。王将のギョーザは、パリっとした焼き餃子。一方、本場・中国でギョーザといえば、一般に「水餃子」をいう。餃子の王将では、水餃子は販売しておらず、「焼き餃子」にこだわったことが、現地での売り上げの足を引っ張ったようだ。
王将フードサービスは、「現地向けのメニューを用意したりもしましたが、基本的には日本の味つけをそのまま持って行きました。『王将のギョーザ』の味を広めたいという思いが強すぎたのかもしれません」と話している。
たしかに、本場・中国で「日本流」のギョーザを食べてもらうのは、そんなに容易なことではないのかもしれない。
「餃子の王将、中国撤退」の報道に、産経ニュース(11月6日付)は外信コラムで、中国・上海の友人たちが「そもそも無謀だった」と口をそろえたと、伝えている。中国の寿司店が、日本で寿司チェーンを開いても成功しないのと同じという。
また、同日付の東洋経済オンラインは「『餃子の王将』、なぜ本場中国で失敗したのか」の見出しで、中国には「鍋貼(グオティエ)」という焼き餃子のような料理があり、「中国各地でふつうに食べられている」と指摘。「焼き餃子か、水餃子か」ではなく、そもそも「『日本の中華料理』を中国に持ち込む、という発想に問題があったのではないだろうか」と、疑問を投げかけている。
中国に進出して成功を収めている日本の外食企業がないわけではない。つまりは「郷に入ったら郷に従え」という倣いに反しているというわけだ。