ソーシャルゲーム大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の2014年7~9月期決算は、前年同期比で減収減益となった。10~12月期の業績予想も引き続き減収減益と苦戦が続く。
一方でアプリゲームの新作でヒットが生まれたことで、今後に期待をかける。
「住まい」と「ファッション」のキュレーションサービス買収
DeNAが2014年11月7日に発表した7~9月期決算は、売上高にあたる売上収益が360億円、営業利益が80億円となり、前年同期比でそれぞれ24%減、47%減となった。4~9月期連結決算でも、純利益50%減と厳しい結果となった。
半面、前期(4~6月期)と比べると売上収益は1%増、営業利益は15%増だった。主力の国内ゲーム事業が当初見通しを上回ったという。守安功社長は、9月25日に配信を開始したスマートフォン(スマホ)向けゲームアプリ「ファイナルファンタジー・レコードキーパー」が好調だと説明。1か月強で300万ダウンロードに到達し「ようやくアプリでヒットタイトル出せた」と話した。
新規事業にも乗り出した。8月に提供を開始した遺伝子検査サービスと並んで、9月には「キュレーションサービス」を手掛ける2社を買収。キュレーションとは、インターネット上の情報を収集しまとめたうえで提供することで、DeNAは住まいとインテリア、女性向けファッションにそれぞれ特化するキュレーションサービスを手に入れた。守安社長は、短期間で大きなユーザーベースをつくりあげる、スマートフォンの時代にあった「メディア」として期待をかける。ゲーム事業では届かなかった顧客層へのアプローチも狙っているようだ。
収益を上げるうえでは広告モデルだけでなく、例えば住まいのサービスでは「利用者とリフォーム業者のマッチング」、ファッション分野はオンライン通販を想定する。とは言え利用者ベースの拡大が先決で、こうした具体案がすぐ実現するわけではなさそうだ。当面はゲーム事業に頼ることになるだろう。次の四半期も減収減益予想で、不振から完全に抜け出したわけではない。「反転攻勢」が軌道に乗るかは、第2、第3のヒットゲームを開発できるか、また「1年後は市場規模が日本と同じか、それ以上になってもおかしくない」(守安社長)中国での具体的な事業戦略が描けるかが影響してきそうだ。