主張食い違う「防犯カメラ」の証拠映像
肝心の防犯カメラの映像についての見解も真っ向から食い違っている。冨田選手は韓国警察で見せられた防犯カメラの映像の一部は不鮮明であり、肝心の盗んだ瞬間も映っていなかった説明する。代理人の國田武二郎弁護士も「その場面を誰も少なくとも私が確認した限りは確認がとれていない」と話した。
これに日本オリンピック委員会(JOC)は6日、「記者会見における冨田選手の発言には驚いている」とコメント。JOCスタッフも映像を見たが、冨田選手と判別できるものであり、カメラを袋に入れるシーンも確認したという。
また、事件を捜査した仁川南部警察署の関係者も韓国・聯合ニュースの取材に
「監視カメラにスポーツウエア姿の男性がカメラを自分のバッグに入れる場面が映っていた。日本選手団のウエアであることを組織委員会に確認し、日本選手団の関係者に映像を見せたところ、日本オリンピック委員会(JOC)役員の柳谷直哉氏がすぐに男性を冨田選手だと特定した」
と説明している。
なお、冨田選手が主張するアジア系の男性は、國田弁護士によれば防犯カメラに映っていたという情報もなく、現時点では冨田氏の供述以外に証拠はないそうだ。そもそも各国ユニフォームを着ている人たちの中に、濃い緑色の長ズボンを履いた男性がうろうろしていれば、それこそ不審に思われるだろう。
会見で主張した「アリバイ」も冤罪の証明とはならなかった。韓国警察が発表していた犯行時刻(10時48分)について、一緒にいたという他選手の証言をとってきたが、韓国警察が犯行時刻を1時間後に訂正していることが報道陣から指摘された。國田弁護士は潔白を証明する材料を改めて集める考えを示した。