板倉宏教授「急発進させたのは正当防衛とは言えない」
殺人事件にまでなった交通トラブルについて、実際、その詳細はどうなっていたのか。
町田署に取材すると、報道とは違う状況が出てきた。
その説明によると、交差点で信号が青に変わったので逮捕された男性が車を進めようとすると、大学生のワゴン車が前をふさいでいた。ワゴン車の前が詰まっていたからだという。男性は、それでもクラクションを何度も鳴らしたため、大学生がワゴン車から降りてきてトラブルになったというのだ。
とはいえ、町田署では、大学生が亡くなったため、男性の供述だけしか分からないとしている。真相については、目撃情報などをもとにした今後の捜査を待つしかないようだ。
板倉宏日大名誉教授(刑法)は、男性が車を急発進させたのは正当防衛とは言えないと言う。
「車を急発進させれば、死ぬかもしれないという未必の故意があることになります。ですから、過失致死ということにはならないです。男性を殺人容疑で逮捕したからといって、おかしいとは言えません」
起訴されれば殺人罪になる可能性が大きいため、男性に執行猶予は付かず、懲役8年ぐらいの実刑判決になるのではないかとしている。ただ、法律上ではそうでも、何か釈然としない感じは残りそうだ。