北海道南幌町の自宅で祖母と母親を殺した容疑で逮捕された高校2年生の女子生徒について、2014年11月4日、同級生やその保護者が非公開の家庭裁判所での審理を求める嘆願書を札幌地検に提出した。
提出された署名は1万人分を超えた。事件の経緯から、「被害者はこの子のほうだ」として、女子生徒に対する同情の声が広がっている。
南幌町の人口を上回る署名が集まった
彼女への嘆願書が提出されたのは、祖母と母親から虐待を受けていた可能性があるためだ。逮捕後、彼女自身「しつけが厳しく、今の状況から逃れたかった」と供述しているという。
新聞各紙や週刊誌など、これまでの報道をまとめると、彼女は1人で敷地内の離れで生活していた。庭の草むしりをさせられたり、冬場は早朝に雪かきをさせられたりするなど、家事のほとんどを押し付けられていたようだ。また、祖母から「役立たず」と罵倒されたり、杖で叩かれたりする様子を近所の人が目撃している。「奴隷のようだった」という証言もあり、幼稚園児だった2004年には児童相談所に通報されている。
嘆願書を提出したのは、同級生の保護者が代表を務める「将来ある少女に適切な裁判を望む地域住民の会」だ。提出後、代表は報道陣に「彼女はしつけの域を超えた虐待を受けた可能性がある。刑事裁判ではなく、家庭裁判所で審理してほしい」と話したという。
同会は10月10日から町内を中心に街頭で署名活動を開始。札幌地検にはネット署名800人分を含む、1万534人分の署名を提出した。同町の人口は8000人ほどであることを考えると、その数の多さが分かる。現在も署名活動を続け、札幌家裁に同様の嘆願書を提出する予定だ。
「彼女が社会復帰する時に支障のないように」
彼女は学校で優等生だった。成績優秀で、10月からは生徒会長になる予定だったリーダー的存在。ボランティア活動にも熱心だったという。ツイッターには「南幌町に住んでる人いわく、地元では殺害した17歳の子のこと悪くいう人一人もいないらしい」という書き込みもある。
報道を受け、ツイッターなどネットでは、
「虐待から逃れるためにやむなしだったのかもしれない。正当防衛としてやれないか」
「この事件の被害者はこの子だと思うのね。罰するよりも、社会復帰の手助けを」
「この17歳の子のトラウマのケアもしっかりされることを願うよ」
といった同情的な意見が広がっている。
また、署名サイト「change.org」でも署名の呼びかけが行われている。「同級生S」という人物による説明文には、
「彼女は殺人という重い罪を犯した加害者でもありますが、被害者の祖母・母から虐待を受けていた被害者でもあります。彼女がしたことは決して許されることではありません。ですが、少しでも彼女が社会復帰する時に支障のないように配慮してもらえるようにご協力をお願いします」
と書かれている。すでに1000人近い署名が行われ、「友達のため協力します」「お願いします」など、彼女を知ると思われる人たちからコメントが寄せられている。