世界自然遺産に指定されている小笠原諸島周辺の日本の排他的経済水域に赤サンゴを狙って中国漁船が押し寄せている。その数は2014年10月31日に212隻に膨れあがった、という。中国国内でサンゴの採取が禁止され、台湾周辺での採取が激減しているため日本近海がターゲットになったらしい。
赤サンゴは世界で生息場所が限られる貴重な「宝石」として扱われ、非常に高価で取引される。中国の密漁船も一攫千金を狙って来ているようだが、いったいどれくらい高いのか。
「根が生えている状態」の赤サンゴはキロ当たり660万円
日本国内で赤サンゴを採るためには免許が必要で、採取の仕方や禁漁時期など各都道府県で独自の規制が設けられている。取引価格について高知県にある「日本珊瑚商工協同組合」に話を聞いてみたところ、セリは年に3回開かれ、05年ごろから徐々に高値になり05年と比べれば14年は10倍に高騰していると説明した。
特に13年の伸びが著しかったと説明した。気になる入札価格だが2014年は3回のセリが終了し、白サンゴがキロ当たり2万円だったのに対し赤サンゴは、根が生えている状態のものが同660万円、折れたりして「枯れた」状態のものが同130万円だったという。
一方、14年は13年に比べ若干価格が下がった。入札に参加したのは組合員で海外の業者が参加してはいない。日本国内で赤サンゴのブームが起きたという話はないため、海外に輸出された可能性が高い。
赤サンゴは採れたままの状態でセリにかけられた後、研磨などの加工をされて市場に出回る。指輪やイヤリングネックレスなどの「宝石」として使われることが多いが、使われた赤サンゴの色や大きさ、付属品の価値などによって販売価格はまちまち。貴金属店のホームページやネット通販などを調べてみると、イヤリングで2500円、指輪35万円程度で売られているものもあれば、高知県沖で採れた赤サンゴを使ったネックレスには1500万円という値段が付いているものもある。
「台湾産が採れなくなったため、最近は日本産が多い」
2014年10月24日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」は赤サンゴの密漁について取り上げた。中国国内では赤サンゴが富裕層の垂涎の的になっていて、価格が急騰している。北京にあるデパートの宝飾売り場に入ったカメラが、ガラスケースに入った、50センチほどの赤サンゴの「生木」を加工した商品を撮影し、「日本円で2700万円もする」と紹介した。またカメラは、北京の骨董品街でショーケースに並ぶ赤サンゴの指輪やネックレスを撮影し、店主が、
「台湾産が採れなくなったため、最近は日本産が多い」
などと説明した。
中国の報道では14年4月に浙江省寧波市象山県沖で禁止されている赤サンゴを獲った13人を逮捕し7月にサンゴ約7キロ(289万元=約5300万円相当)を押収した、などというものもある。中国で赤サンゴは本当に高額だ。