日亜化学は、若手研究者の力と訴えていた
中村修二氏が会社の悪口とも受け取られる発言をしていたことから、「そりゃそうだろな」「はらわた煮えくり返っているんじゃないのか?」「今さら、仲良くしようとか言われてもねえ」といった感想が出たのだ。社長が面会するなどしたら、中村氏のパフォーマンスに利用されてしまうとの指摘もあった。
また、日亜化学が丁重にお断りしたことについては、「大人の対応だなぁ」「素晴らしい」との賞賛の声まで上がった。
一方で、日亜化学に対する批判もあり、「度量の狭い社長だな」「大人気ない」「慇懃無礼」といった声も漏れていた。
ところで、日亜化学が関係改善を断ったとしたら、中村氏が受賞会見で悪口を言っただけが理由なのだろうか。
日亜化学の社長は、「日経ものづくり」2004年4月号のインタビュー記事で、中村氏について苦言を呈していた。確かに、青色LED開発を提唱したのは中村氏だと認めながらも、製品化できたのは若手研究者たちの力だったと訴えた。中村氏に開発を止めるように命じたことはなく、むしろ研究費を増やしており、中村氏の退職時には2000万円弱もの給与を支払っていたと言っている。
これに対し、中村氏は、記事の中で、イチロー選手が球団で巨額の報酬をもらっても批判する人はいないとし、会社にいても個人の力で開発できたときは、会社も潤うのだから、それなりの待遇があるべきだとの主張を展開していた。
両者には、考え方の溝は深く、たとえ共同研究をしたとしてもうまくいかない可能性がありそうだ。
日亜化学の総務部に取材すると、中村氏が面会などを求めたことに対し、会社としてお断りしたことを認めた。その理由については、「会社のコメントのみで対応しており、それで理解していただいています」とだけ答えた。