女性がファーストネーム(名前)で呼ばれると、愛情ホルモンが増えて、コミュニケーションもスムーズに――。
ポーラ・オルビスホールディングス傘下のポーラ化成工業が実施した調査で、こんな結果が出た。ポーラ・オルビスグループは調査結果を新製品のブランド展開などに生かしたい考えだ。
愛情ホルモン「オキシトシン」が増加
調査は2014年4月、3歳以上12歳未満の子供をもつ30代の女性で、普段はファーストネームで呼ばれていないという19人を対象に実施した。女性たちに対し、初対面の人が15分間、ファーストネームで呼び掛ける前後に、女性の口内の唾液を採取してホルモンなどを分析したほか、アンケートに答えてもらう方法で行った。
それによると、女性が初対面の人からファーストネームで呼び掛けられた場合、愛情ホルモンとも呼ばれる物質「オキシトシン」の唾液中の平均濃度は1ミリリットル当たり5.1ピコグラム(ピコは1兆分の1)で、呼び掛けられる前の同4.4ピコグラムより0.7ピコグラム上昇した。オキシトシンは、出産や母乳の分泌を促すホルモンで、愛情や信頼、幸福感と深い関係があるとされている。最近の別の調査では、ボディタッチでもオキシトシンが増加することが確認されているといい、ファーストネームで呼ばれた場合も同じような効果が生じることが分かった。
一方、ストレスホルモンとも呼ばれる物質「コルチゾール」についても調べたところ、女子がファーストネームで呼び掛けられた場合の平均濃度は唾液1デシリットル中0.224マイクログラム(マイクロ波100万分の1)で、呼び掛けられる以前の同0.256マイクログラムに比べ、0.032マイクログラム減少した。
相手が一人の人間として認めてくれている
コルチゾールは、過度な心理的ストレスを受けると分泌量が増えるとされており、ファーストネームでの呼び掛けによってストレスが和らぐ効果が表れたことになる。
こうした調査結果について同社は、普段から「●●ちゃんのお母さん」や「●●課長」など、立場やポスト名で呼ばれている女性は、自分の名前であるファーストネームで呼ばれると緊張感やストレスが解けると分析。ファーストネームで呼び掛けられると、相手が一人の人間として認めてくれていると好感をもち、敵意も減るのではないか、と指摘している。
安倍政権は女性の活躍を推進するため、2020年までに各分野で指導的立場に就く女性の割合を3割に引き上げるとの目標を掲げている。女性の活躍を促すには、女性にとって働きやすい環境作りが重要だ。女性に対する呼び掛け方の工夫は、職場をはじめ、さまざまな分野で良好なコミュニケーションを築く手段となる。女性の活躍が叫ばれる中、この調査結果は注目を集めそうだ。