環境性能課税の影響も心配
そうしたなか、自動車業界は2015年10月に予定されている消費税率「10%」への再引き上げを懸念している。2014年4月の8%への引き上げでは、新車購入時にかかる自動車取得税のエコカー減税を拡充するなど急激な販売減を緩和する対策が講じられたが、その効果があまりなかったことは前述のとおり。再引き上げとなれば、国内はさらに販売台数を減らすことになりかねない。
自動車関係税制のあり方を検討する経済産業省と日本自動車工業会(自工連)は、消費税率を10%に引き上げた場合の2016年度の国内新車販売台数について、税制優遇や補助金などの自動車需要の低下を防ぐ対策がとられない場合、年間の総販売台数の約1割に相当する、最大で年間50万台が減少すると試算している。
消費税が8%に増税された2014年度の新車販売は、年度前半の駆け込み需要の効果が後半にはなくなるとみられ、13年度の実績(569万台)と比べて94万台減の475万台まで落ち込むと予測。10%への増税時には引き上げ幅が3%から2%に縮小するため、影響も緩和されそうだが、1997年に3%から5%へ増税されたとき、増税後の販売減は729万台から628万台の、101万台にも及んだ。
一方で政府は15年度の税制改正で、消費税率を10%に上げた段階で廃止する自動車取得税に代わる新たな税として、燃費性能に応じて購入初年度に自動車税へ一定額を上乗せする「環境性能課税」の導入を検討している。
自工連は「環境性能課税は自動車ユーザーに新たな税負担を強いる増税である」という。なお、環境性能課税の影響は試算に反映されていない。