安倍晋三首相が、ここ2日間の国会答弁で感情をむき出しにする場面が目立っている。ひとつが内閣改造後に発覚した閣僚の不祥事、もうひとつが「天敵」朝日新聞についてだ。
改造前の「安全運転」だった安倍首相からすれば様変わりした、余裕がない状態ともいえ、第1次内閣が崩壊する原因になった「体調不良説」が蒸し返されかねない状況だ。
「個別には結構です」と制止され安倍首相の「感情スイッチ」が入る
2014年10月30日の衆院予算委員会では、民主党の小川淳也議員が、内閣改造時に新たに入閣したメンバーをパネルにして示しながら「ほぼ全滅」などと指摘。これに対して安倍首相は「任命責任者として深く責任を感じている」と陳謝しながら小渕優子前経産相について「国民から負託を受けている議員として、説明責任を果たしていただきたい」と釈明した。さらに宮沢洋一経産相について説明しようとして小川議員から「個別には結構です」と制止されると、安倍首相の「スイッチ」が入った。
「いや、でも個別にって言っても、全体について話をされておられますから、しかも顔写真を出してですね、顔写真を出して...。私はどうかと思いますよ?」
小川議員は「改造全体の評価を」と、総論について答弁するように求めたが、「火に油」だった。
「ですからしかし、ひとりひとり名前を出されたんだから、それについてはですね、説明をさせていただかなければおかしいじゃないですか!こういう公共の電波を使ってイメージ操作をするのは私はおかしいと思いますよ?そのことについては、ひとりひとりの、安倍内閣の閣僚の名誉がかかってるんですから、話をさしてくださいよ!ひとりひとりについて!よろしいですか?よろしいですね?」
朝日新聞についても、感情的な発言が続いた。安倍首相が10月29日に自民党本部で行われた側近議員との昼食会で、「これで『撃ち方やめ』になればいい」などと述べたという報道が発端だ。少なくとも朝日新聞、共同通信、毎日新聞、日経新聞、産経新聞が報じた。この点について、枝野幸男議員が10月30日の衆院予算委員会で確認すると、なぜか安倍首相は朝日新聞だけを持ち出して「これは捏造です」。
これを受け、朝日新聞は10月31日の紙面で、「撃ち方やめ」発言の情報源の人物が、発言は「自分のものだった」と説明を翻したことを報じた上で、「記事は意図的に話をつくった捏造ではなく、取材にもとづいて書いたものです」という東京本社報道局の談話を載せた。