幸福の科学大学について、国の審議会が不認可と答申し、「『霊言』を元にした必修科目は、科学的とは言えず学問でない」とその理由を説明している。大学側は、「霊言を元にした必修科目は設定していない」と反論している。
2015年4月に開校する予定だった幸福の科学大学は、すでに千葉県長生村で校舎などが完成に近づいている。ところが、半年を切った段階で、開校できない見通しという異例の事態に陥った。
審議会は「霊言を元にした必修科目」と指摘
文科省の審議会が2014年10月29日に不認可答申し、大学設置室によると、下村博文文科相が31日に設置を認めない決定を出す見込みになった。
審議会では、その理由について、文科省ホームページ上で説明しており、その内容がネット上で話題を集めている。
説明によると、大学では、3学部共通の必修科目「創立者の精神を学ぶ」などが挙げられているが、それは宗教団体「幸福の科学」創始者の大川隆法さんの著作が深く関わっていた。著作では、死んだ人は、脳の機能が停止したとされるが、体が焼かれても個性があって考える力もあると主張する。そして、それは「霊言」を生むとしており、科学的に証明されていると主張している。
しかし、審議会では、霊言は、科学的根拠がなく、学問の要件を満たしていないと指摘した。大学設置室によると、審議会が審査中の5月と8月に幸福の科学大学側に是正意見を出していたが、答申前までに改善されなかった。
さらに、審議会の説明資料などによると、大川さんの著作が委員に送り付けられたうえ、下村文科相の守護霊本を出して、認可を強要するような不適切な行為があった。このことについて、「制度の根幹を揺るがすおそれのある問題」だとしており、文科省では、大学側と話し合ったうえ、12月にも最長で5年は設置を認めない決定をする予定だとしている。