拉致問題分科会の部屋では「熱心に作業が行われている雰囲気はなかったようです」
TBS記者による生中継のリポートは、北朝鮮が拉致問題に真剣に取り組んでいないことを示唆する内容だ。
「調査の報告が想定より遅れているなか、日本側への配慮を示す一方で、『調査はきちんとやっている』とアピールする狙いがあるとみられます。一方でその調査の状況ですけれども、特別調査委員会が入る建物の委員長室の向かいには、『拉致問題』などと書かれた分科会の部屋もあったのですが、熱心に作業が行われている雰囲気はなかったようです」
その上で、TBSの記者はこう続けた。北朝鮮の国内事情の変化が交渉に影響を及ぼすという分析だ。28日夜の生中継で、この点に言及したのはTBSだけだ。
「ある政府関係者は『再調査で合意した夏前とは明らかに状況が変わってきている』と話していて、先ほどのVTRにもありましたように、金正恩第1書記の動静や、北朝鮮内の権力闘争など、国内事情の影響もあり、交渉の行方が不安定なところが大きいと言えます。とにかく拉致問題の解決につなげたい日本側としては、今後も難しい交渉が続くとみられます」
ごく当たり前の分析と思われるが、こうした指摘が北朝鮮を刺激することになった可能性もある。北朝鮮の取材妨害は10月29日午前のみだったとみられ、同日夕方のニュース番組では、TBSも平壌からの生中継が復活していた。そこでは特に呼びつけられたことについての言及はなかった。TBSの記者は帰国後に改めて説明するとみられる。