徳洲会グループから5000万円の資金提供を受けていた問題で辞職した猪瀬直樹・前東京都知事が久しぶりにメディアに登場した。
2014年10月30日、著書「さようならと言ってなかった わが愛 わが罪」をマガジンハウスから発売。さらにラジオ番組に生出演し、亡くなった妻への思いや事件について語った。
新著で妻との思い出を語る
「さようならと言っていなかった わが愛 わが罪」は都知事時代のオリンピック招致活動、その最中に脳腫瘍のため亡くなった妻・ゆり子さんとの思い出など、メルマガで公開していた(現在は削除)記事をベースに、大幅な加筆修正をしたものだ。徳洲会からの資金提供についても新たに書き加えられている。
同著の中で、駆け落ち同然で上京したことや、新婚当時の生活ぶりなどについて詳述。2人の出会いについては「最初に眼と眼が合った瞬間、光の速度で一心同体で生きると決めた」と書くなど、赤裸々な胸の内を明かしている。
医師から伝えられた病状をなかなか本人に言い出せない葛藤や、招致活動をともにしたフェンシングの太田雄貴選手やキャスターの滝川クリステルさんに妻のことを明かし、涙してもらったことなど、当人にしか分からない、当時の心情や状況がつづられている。
「作家・猪瀬直樹」としてはめずらしい私小説の形となった。
政治の世界に戻る可能性は
一方、出演した文化放送の生放送番組「吉田照美 飛べ!サルバドール」では、辞任の引き金となった徳洲会からの資金提供問題が話題の中心だった。
吉田さんから久しぶりのメディア出演の感想を聞かれ、「みなさんの期待にそえなかった。(都知事選の獲得票数)400万票をいただいて、改革を続けないといけないのに徳洲会からお金を借りて問題になった。軽率な行動で辞めざるを得なかった。本当に申し訳なかったと思っています」とした。
「政治家としては素人だった」と何度も口にした。5000万円という大金を借りたことを「お断りすればよかった。でも、いりませんとは言えなかった」と振り返り、「何てバカなことをしてしまったんだと思った」と語った。その後も「反省しています」という言葉を繰り返した。
今後、政治の世界に戻る可能性については、
「確かに道路公団民営化や副都知事としてお手伝いはしましたが、都知事として責任を取るのは失敗しました。政治の世界はいいかなって。もう少し長いスタンスで作家として、どういう方向に日本が向かっていくのかを考えていきたいと思います」
と否定した。
出演後、ツイッターには
「都知事時代までと比べて、声に『険』が無くなり、『角』が取れたように僕には聴こえました」
「猪瀬さん、元気のない声だったなぁ」
「正直な感じがした。また話を聞いてみたい」
など、さまざまな感想がつぶやかれている。