電力とは全く異なる状況
もちろん、電力と同様に、寡占企業に新規事業者が競争を挑める公正な条件作りが欠かせない。そこで焦点になるのが、現在はガス導管の整備・管理から小売りまでを一貫して手掛ける都市ガス事業者から、ガス導管部門を分離するかだ。新規参入者は使用料を払ってガス導管を利用し、ユーザーにガスを届けることになるが、電力の送電部門切り離し論と同様、新規参入者が大手事業者と対等に競争できるようにするのが、導管分離の狙いだ。
ただ、送電網は全国に張り巡らされ、基本的に全てつながっていて、まとめて分離するのが比較的容易なのに対し、都市ガスは各事業者が自社の営業エリアにそれぞれガス管を敷設し、相互がつながっていないケースも多い。しかも、都市ガスの販売シェアの7割を占める東京、大阪、東邦の大手3社を除くと、事業者の規模が小さく、全国約200事業者のうち8割が従業員100人以下の中小企業。10社寡占の電力とは全く異なる状況にある。このため、政府は導管部門の分離は資本力がある大手3社に限定する方向で検討することになりそうだ。