妊娠や出産を理由に働く女性が嫌がらせを受ける「マタニティー・ハラメント」(マタハラ)について、最高裁が下した初の判断が注目を集めている。
「画期的な判決」との評価も聞こえる中、軍事評論家の田母神俊雄氏(66)が異論を唱え、猛反発を受けている。
「同じ労働条件にせよというのは無理」
今回最高裁が判断を下したのは、妊娠による降格をめぐる裁判だ。広島市の病院で働いていた管理職の女性が妊娠後、業務負担の軽い部署への異動を希望したところ副主任の職を解かれたことを不服として、病院側に損害賠償などを求めていた。
2014年10月23日の最高裁は、「降格を本人が承諾したか、降格が必要な特段の事情がない限り降格は違法」と、初めての判断を示した。原告敗訴の2審判決を破棄し、広島高裁に審理を差し戻した。
これについて田母神氏は10月24日、ツイッターで
「女性は子供を生むときは長期にわたり会社を休むのです。その可能性のある人と継続的に働いてくれる男を同じ労働条件にせよというのは無理です。また妊娠で軽い業務しか出来なくなった女性を降格したとか言って裁判に訴えるような女性はどんな女性か。『貴女を愛してくれる男性はいますか』と聞きたい」
と投稿した。
男女雇用機会均等法が施行され、30年近くがたち、安倍内閣も女性の活躍を積極的に打ち出している。そうした中、田母神氏はそれに反するかのような主張を唱えた形だ。
「あなたを産んだのは男性ですか?」反論続々
田母神氏のツイッターには
「短期的利益しか考えてない。政策でカバーしないと少子化はさらに進む」
「貴方を欲する女性はいても、貴方を愛する女性は居なさそうだ」
「あなたを産んだのは男性ですか?男女が協力しあわないと繁栄できず日本は滅亡し ます」
といった反論が続々と寄せられている。
田母神氏は9月に「太陽の党」を率いることになったばかりだ。「女性票を失くしますよ」との指摘もさっそく受けている。
若者の労働・貧困問題に取り組む「NPO法人POSSE」の事務局長、川村遼平氏はツイッターで「最低なコメントをしようと思ってもここまで醜いのは思いつかない」と呆れかえる。NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏も「ほんとこの人が都知事選に失敗してくれたことを、神に感謝したい」と皮肉たっぷりに批判。フリージャーナリストの岩上安身氏も「女の敵であり、母親の敵。民族の再生産の敵」と非難した。