「2014~2015 日本カー・オブ・ザ・イヤー」(日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会主催)にマツダデミオが決まったことで、国内のもうひとつの自動車大賞である「RJCカーオブザイヤー」の行方が注目されている。
今年はデミオに対抗できる有力な新車が少なく、2011年の日産リーフ以来、デミオが両カーオブザイヤーをダブル受賞する可能性が高い。マツダは2013年(2014年次)、アテンザがRJCカーオブザイヤーを受賞しており、デミオとなれば初の連続受賞となる。果たしてマツダの快進撃となるのか、伏兵が潜むのか?
スバルレヴォーグが追う
今年(2014~2015年)の日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考に残ったのはマツダデミオ(得票423点)のほか、メルセデス・ベンツCクラスセダン(404点)、BMWi3(340点)、スバルレヴォーグ(124点)、スズキハスラー(65点)、日産スカイライン(41点)、プジョー308(41点)、ジープチェロキー(15点)、ホンダN-WGN/N-WGNカスタム(13点)、トヨタヴォクシー/ノア(9点)。これらが今年の「10ベストカー」となった。
RJCカーオブザイヤーのノミネート車は公式発表されていないが、例年、日本車と輸入車は別々に選考されるため、デミオのライバルは日本カー・オブ・ザ・イヤー次点のスバルレヴォーグかスズキハスラーといったところ。デミオは今回、「国産コンパクトカーの常識を打ち破るデザインとクオリティー、テクノロジーをリーズナブルな価格で実現した。低燃費技術を追求するなかで、小型クリーンディーゼルを採用、MTモデルをリリースするなど多彩なニーズに配慮している」(鈴木俊治・日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会委員長)などと評価された。
今回、日本車として次点だったスバルレヴォーグは「国内専用モデルとして日本ユーザー向けに開発し、レギュラーガソリンが使える国内初のダウンサイジングターボを実現した」、スズキハスラーは「軽のワゴンとSUVを融合させた新ジャンルを開拓し、アウトドア派の若者を中心に久々のヒット作となった」など、それなりの受賞理由が考えられる。しかし、欧州では常識の小型クリーンディーゼルを国内で初めてリリースしたデミオのインパクトにはかないそうにない。
日本カー・オブ・ザ・イヤーと棲み分け
1980年に始まった日本カー・オブ・ザ・イヤーは、自動車雑誌の出版社などが実行委員会を組織し、選考委員にはレーサーやラリースト出身の自動車評論家が多い。これに対して、RJCカーオブザイヤーはNPO法人「日本自動車研究者ジャーナリスト会議」(RJC)の主催で、会員には大学教授などの学識経験者や技術者、レーサー出身でないベテランの自動車評論家が多い。デミオは日本初の小型クリーンディーゼルが学識経験者や技術者の関心を呼ぶのは間違いない。
RJCは、伝統ある日本カー・オブ・ザ・イヤーを「メーカーの接待づけ」や「運動性能に偏重した選考」が多いなどと批判して1991年に誕生した経緯がある。このため、過去の受賞車も日本カー・オブ・ザ・イヤーにスポーツカーや高級車が多いのに対して、RJCカーオブザイヤーはスポーツカーよりもファミリーカーが多いのが特徴で、それぞれ棲み分けを図っているようだ。
過去の受賞例を見ると、両者が一致したのは、2011年の日産リーフのほか、2001年のホンダフィット、2000年のホンダシビック/フェリオ、1997年のトヨタプリウス、1992年の日産マーチしかない。いずれも時代を画す電気自動車やハイブリッドカーなど新技術を採用したクルマか、実用的なファミリーカーばかり。11月とみられるRJCの発表が注目される。