日韓の間で漁業交渉が暗礁に乗り上げている。2014年7月から、お互いに相手の排他的経済水域(EEZ)で漁船が出入りできない状態が続く、異例の事態が起きている。
こうした事態は現行の日韓漁業協定が結ばれた1999年以降では初めてのことだ。交渉がまとまらない背景には韓国側に原因があるようだ。
タチウオの割当量を1120トンから8000トンにするよう要求
日韓漁業協定は毎年7月からの漁期に合わせて、日韓の担当者が4~6月にかけてお互いに相手のEEZ内での漁獲割当量や何隻の漁船を入れるかなど、操業条件を決めるために交渉が行われる。
これまでも割当量のトン数などをめぐって、お互いの意見が衝突して6月末までに交渉がまとまらないことはあった。しかし、今年はいつもよりも「溝は深い」(水産庁担当者)という。
原因の1つに韓国側の違法漁業がある。水産庁によると、一部の漁船が定められた以上の量を獲ったり、漁獲量を正確に報告しなかったりすることが近年続いている。日本側はルールの順守や正確な報告を行うよう求めているのだが、韓国側からは具体的な対策を取るどころか、今後改善策を取るという明確な回答すら得られない状況だ。
ルールを守らない一方で、韓国側はタチウオの漁獲割当量について昨年の1120トンから8000トンにするよう要求。日本側も少ない漁獲高の中で頑張っているだけに、担当者は「まずはルールを守ってもらわないと」と困っている。
交渉がまとまらないため、現場でも影響が出ている。例年10、11月になると、日本の巻き網漁船はサバ漁のため長崎から韓国・済州島沖あたりまで向かうのだが、2014年は協定が妥結していないため、相手国のEEZ内で操業することができない。日本のEEZ内でもサバ漁は行えるが、例年より漁獲量が落ち込む可能性はある。