30か国700ものバイオ産業や大学研究者、研究機関が一堂に会し、技術シーズの提案、実用化の協力者を求めたり、商品化などの商談までの機会を提供したりしようという「BioJapan 2014 」が2014年10月15日から17日まで、パシフィコ横浜で開かれた。
バイオインダストリー協会、ヒューマンサイエンス財団、日本製薬工業協会など 9団体からなるBioJapan組織委員会が主催した。がんを始めとする難病の治療薬候補、診断法、医療機器、再生医療を支援するさまざまな基本技術、各種の生理活性物質などが展示され、内容紹介のセミナーも盛況だった。
鳥取大が膵臓がん血清診断法開発
愛媛大学プロテオサイエンスセンターはコムギの胚芽からさまざまな膜たんぱく質を合成する技術を展示した。ヒトの遺伝子で作るたんぱく質の3分の1は細胞膜に付着している膜たんぱく質で、開発中の薬候補の半分を占めている。細胞に作らせる従来法では精製が非常に難しいのに対し、遠藤弥重太・特別栄誉教授が開発した「コムギ無細胞たんぱく質合成法」は簡便、効率的に合成できる。センターではすでに50種類以上の膜たんぱく質を合成しており、11月には企業研究者向けの講習会も企画している。
鳥取大学は有望な膵臓がん血清診断法を開発した。血清から膵臓がんに関係する遺伝子情報を取り出し分析する。松本和也助教 (消化器内科) らが膵臓がん患者45人と非膵臓がん患者38人で調べたところ、膵臓がんの44人(98%)を診断でき、正しい診断率は83人中73人(88%)で、従来のバイオマーカーの70%を大きく上回った。
早稲田大学産学官研究推進センターの人工赤血球(ヘモグロビン小胞体)は、輸血用途では血液型に無関係で、室温で2年間保存できるうえ、脳卒中や外傷、移植用臓器の保存液などへの応用が可能だ。
また、国立国際医療研究センターの膵島移植プロジェクト研究室では、免疫抑制剤を使わないですむよう移植用の膵島封入用具の共同開発を持ちかけている。
(医療ジャーナリスト・田辺功)