決定までに紆余曲折ありそう
世界では、24時間・365日の決済サービスが広がりつつある。英国は2008年にいつでも即時決済が可能なシステムを導入した。送金額に約1700万円の上限があるものの、個人の利用者が増えている。シンガポールなどが同様のシステムを採用し、米国も導入に向けた議論がスタートしている。「小幅な延長にとどまれば、日本の決済サービスだけが時代遅れになる」(金融当局者)との懸念もあり、大手行の間では「どうせ延長するなら、土日や祝日、夜間にまで踏み込まなければ意味がない」との声が強い。
業界内の意見調整はほとんど進んでいないのが現状だ。全銀協が10月16日に公表した延長に向けての中間報告は、①現行システムの稼働時間を加盟全行で拡大、②新たなシステムを構築し、土日・祝日を含めて利用時間を拡大――の2案を示すにとどまり、具体的な延長時間や開始時期への言及はなかった。
全銀協の平野信行会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は記者会見で「年内には結論を出したい」と意気込みを語ったが、決定までには紆余曲折がありそうだ。さらに、政府・与党が要請している24時間化は大手行の間でも「費用に見合うニーズがあるのか」(幹部)と疑問視する声もあり、どれだけ時間を延ばせるか、難しい選択を迫られる。