朝日新聞の朝刊が無料でポストに入っていた、とネット上での報告が相次ぎ、話題になっている。慰安婦問題などで誤報が続いただけに、「無料配布」に嫌悪感を訴える声も出ている。
「朝日新聞を無料でお届けさせて頂きますだと 無料でもいらんわ」
ツイッター上では、2014年10月20日にこんな投稿があった。
誤報続きで、ネット上で「嫌悪感」広がる
ツイートには、家のポストに入っていた朝日新聞の写真もアップされている。
「突然に朝日新聞の配達をして、申し訳ありません。誠に勝手ではありますが、朝日新聞朝刊を無料でお届けさせていただきます」
新聞の上には、プリンターで印字されたこんな紙も載っていた。
それ以上の情報はなかったが、状況をみると、新聞販売店が勧誘用のサンプルとして配ったともみられる。ネット上では、このほかにも家に朝日新聞が無料で入っていたといった報告がいくつかあった。
サンプル配布は、以前からほかの新聞でも行われているようだ。しかし、今回は時期が時期だけに、ネット上で、次々に疑問の声が上がっている。
「これで販売数だかなんだかを減ってないです!読者は許してくれている! みたいに言いたいかんじなのかな?」「やっぱり嫌われてます。まぁ、謝罪して一から出直しってわけじゃなく、世界に拡散した責任回避をほっかむり状態だからねぇ」
中には、朝日への嫌悪感からか、「うちにも来た。築地の朝日新聞本社に着払いで送ってやった」といった書き込みもあった。
もちろん、「折角のタダなんだから読まなきゃ損」「新聞紙って便利だぞ 掃除に包装に大活躍だ」などと歓迎する向きもあるが、厳しい声の方が多い。
もし朝日新聞がサンプル配布などを増やしているとすると、何か事情があるのだろうか。
朝日「本社の指示にもとづくものではありません」
日本ABC協会によると、2014年6月の朝日新聞の販売部数は、740万部だったのが、朝日が慰安婦問題の一部誤報を認めるなどした8月には、725万部に落ち込んだ。週刊東洋経済の10月11日号の特集記事では、ライバル紙の試算で1か月に1%ほど信用低下で部数が減ったとしており、7万部強が消えたことになると指摘している。
記事では、この影響は、朝日にとって「致命的に多いとはいえない」とした。実際、朝日新聞社は、リーマン・ショックによる広告減収などで08~10年まで赤字が続いたが、その後は、経費削減効果などで黒字になっており、経営面での直接的な打撃はないようだ。しかし、記事によると、リーマン・ショック後に販売部数は10%ぐらい減ってきており、販売店にとっては、さらなる部数減は、死活問題になる可能性があるかもしれない。
本社からの押し紙があるかどうかは分からないが、ネット上では、販売店が部数減に困り、それを処理せざるを得なかったのではとの憶測も出ている。
朝日新聞社の広報部に取材すると、「本社の取引先である各新聞販売所では、以前から試読紙を配達しています」とサンプル配布があることは認めた。しかし、「本社の指示にもとづくものではありません」とし、「お尋ねの件が、こうした新聞販売所による通常の試読紙配達によるものかどうかは確認できません」とだけコメントした。