「『外国人』の中では安定的な地位にすぎない」
橋下徹氏が言うように、もし在日韓国人らの特別永住者制度を止めたとしたら、どうなるのだろうか。
入管特例法の第20~23条などによると、特別永住者らは、内乱といった重大な犯罪をしない限りは、国外退去を強制されない。また、再入国では、顔写真や指紋による審査を受けなくてもいい。その子供についても、特別永住を申請すれば許可されることになっている。
これに対し、在日韓国人らが一般永住者になれば、1年を超える実刑確定で国外退去になり、顔写真や指紋による再入国審査を受ける。さらに、その子供については、審査によっては、一般永住を許可されないこともありうる。
このように厳しくなれば、在日韓国人らには、日本に帰化したり、韓国に戻ったりするケースが増えてくるのだろうか。
法務省の在留管理業務室では、特別永住者制度廃止による影響について、「橋下氏がどのような考え方で言われたのか分からないですし、こちらではなんとも言えません」と取材に答えた。
特別扱いがヘイトスピーチなどを生むという橋下氏の主張に、異論も出ている。関西学院大学社会学部の金明秀(キム・ミョンス)教授は、言論サイト「シノドス」上で、「特別永住資格は『在日特権』か?」とのタイトルで長文を載せた。そこでは、「特別法とは、一般法ではとらえきれない例外的な問題を扱う法律を指す言葉であり、『特権』とは何の関係もない」「あくまで『外国人』の中では比較的安定的な地位であるということにすぎない」と主張している。