昔の校長先生から、開設予定の「幸福の科学大学」の紹介資料が郵送されてきた――。ツイッターで、神奈川県座間市内の市立中学校の卒業生らからこんな報告が相次ぐ騒ぎとなり、生徒名簿が目的外に使われていた実態が分かった。
「へ、変なのきたW 校長やばいだろ、てかっなんだよ幸福の科学大学ってWWWW」
2014年10月14、15日には、この中学校の卒業生によるとみられるこのようなツイートが相次いだ。
手紙を送るのに、生徒名簿を目的外に流用
このツイートには、元校長(64)から来たという手紙文や、宗教団体「幸福の科学」創始者の大川隆法さんの本、幸福の科学大学を紹介する冊子、新聞記事のコピーなどの写真がアップされていた。パソコンで打たれた手紙文では、初めに「皆さん、元気で頑張っていますか」と問いかけ、「幸福の科学大学」が開学の予定であるとしたうえで、「未来を担う皆さんの参考になると思い、書籍をお贈りいたしました」と書いている。
座間市教委が17日に発表したところによると、こうした手紙は、現在は高校2、3年生になる卒業生約500人に郵送されていた。元校長は、11年3月に定年退職したが、手紙を送るのに10年度の生徒名簿を流用していた。
これまでに卒業生の保護者ら10人ほどから、「住所がどうして分かったのか?」などと学校や市教委に不安を訴える問い合わせも相次いだ。市教委では、緊急時に使われる生徒名簿が目的外で不適切に使われていたとして、17日に元校長を呼んで厳重注意した。
元校長は、在職中に当たる38年分の生徒名簿を持っていたが、うち持参した10年分を返却してもらい、残りも返す約束をさせたという。市教委が手紙を出した理由を聞いたところ、宗教や大学への勧誘のつもりはなく、卒業生たちに頑張ってほしいという気持ちでしたと説明した。しかし、名簿を目的外使用したことについては、「軽率だった」と謝罪したとしている。