蓮舫氏はブーメランではないのか 「円形穴あきビラ」めぐり「うちわもめ」

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   松島みどり衆院議員の「うちわ問題」は、法相でありながら刑事告発されたこともあって、本人が違法性を否定したまま辞任劇を迎えた。ここ数日で、松島氏や同氏を追及した民主党の蓮舫参院議員以外にも、与野党問わず国会議員が配布したとされる「うちわ」らしきものの画像が多数ネット上に出回っている。

   単に「うちわ=寄付」であれば、多数の議員が違法行為の疑いを持たれそうだが、実際はそれほど単純ではないようだ。「セーフ」と「アウト」の境目は微妙なところだが、こういった公選法の解釈のあり方が時代遅れだといった声も出始めている。

埼玉県選管、うちわ配布は「寄附の禁止に該当し、できません」

蓮舫氏の「円形ビラ」は「うちわ」なのか(2010年撮影)
蓮舫氏の「円形ビラ」は「うちわ」なのか(2010年撮影)

   公選法では、政治家や政党の支部が自らの選挙区内で有権者に寄付する行為を禁じている。候補者が有権者にモノを配る行為はしばしば問題化するが、「有価物」を配ると「寄付」に該当するとみなされている。したがって、松島氏が配ったものが有価物にあたるかどうかが焦点だ。選挙期間以外の「政治活動」や選挙期間の「選挙運動」にかかわらず、選挙区内の寄付行為は違法だとされている。

   公職選挙法では、選挙期間中に配るビラは「2種類以内で大きさが長さ29.7センチ、幅21センチメートル以内」という規定があり、選管に届け出る必要がある。配ることができる枚数は選挙区によって異なるが、厚みや形には制限はない。

   選管によってうちわが有価物にあたるかの判断は分かれるようだが、埼玉県選管のウェブサイトにある「寄附禁止Q&A」というコーナーでは、

「政治家が自分の名前の入っているうちわやカレンダーを選挙区内の人(親族を除く)に対して贈ることできますか」

という問いに対して

「寄附の禁止に該当し、できません」

と断定的だ。蓮舫氏は2014年10月7日の参院予算委員会で、このウェブサイトの記述を根拠のひとつに挙げて松島氏を追及している。

   10月17日に松島氏を公職選挙法違反の容疑で東京地検に刑事告発した階猛(しな・たけし)衆院議員は、松島氏の「うちわ」の製作費用が12年が1本あたり45円、13年が36円または40円、14年が68.5~135円だったことを指摘しながら、「言うまでもなく有価物であるうちわ」だと指摘。その上で、

「松島氏は不当な宣伝効果をあげており、極めて悪質な寄附」

などと主張した。

うちわは「イベントで配って、そのまま捨てられる」ので有価物ではない?

   ただ、松島氏は10月20日の辞任会見でも「有価物」にはあたらないとしており、議論は平行線だ。

「確かに形の上で『うちわか』と言われれば、うちわの形は、持つところもあるし、していると思う。ただ、『財産上の有価物』かという問題については、うちわというのは一般的に商店街の名前が書いてあってイベントで配って、そのまま捨てられる。その類いのものだと思うし、(配布が公選法上)問題になる寄付行為だとは思っていない」

   実は、解釈によっては多くの議員が「うちわ論争」に巻き込まれる可能性がある。過去の選挙で配られた「うちわ状のビラ」が、ここ数日で次々にネット上にアップロードされているからだ。民主党は「比例代表は民主党」と書かれた丸い厚紙ビラを配っていたし、蓮舫氏に加えて東京都の舛添要一知事や、山本太郎参院議員、生活の党の谷亮子参院議員も同様のビラを配っていた。

   蓮舫氏にとっては「ブーメラン」になりかねない事態だが、ツイッターで10月7日に

「今日の私の質問に関し私も円型のビラを配ってるとの指摘がありますが、配布にあたっては個人ビラとして届出の上、各選管の承認を得ており公選法上の寄付には抵触しないと考えます。与野党問わず同類のビラを配布している政治家もいますが、同じ判断と承知」

と反論している。

松島氏は「柄があり、骨もあるということですから、明らかにビラではありません」

   ただ、10年12月14日には、ツイッター利用者が

「学校で人気ですよ!!夏休みみんなうちわ使ってました(笑)」

と話しかけてきたのに対して、蓮舫氏は

「本当ですか?!ありがとうございます!」

と返信している。このため、蓮舫氏が「ビラ」がうちわだと認識していたのではないかと疑う声も出ており、グレーゾーンは残っているようだ。

   なお、「『ウチワにも使える』穴あきビラを考案した」とされるのが、選挙プランナーの三浦博史さんだ。三浦さんによると、うちわ状の「穴あきビラ」と「うちわ」には明確な違いがあるらしく、10月9日付のブログで

「法定ビラ(あるいは政治活動ビラ:この場合はサイズの制限はありません)には縦・横の制限はあっても、厚さの制限も穴を開けてはいけないという規定もないので、たまたま、丸型で、多少厚みがあり、穴が空いていて、指を入れられる、ということで公選法をクリアしているわけです」

と「穴あきビラ」が合法だと説明。確かに、ネットで上がっている「うちわ」は単なる円形の厚紙で穴が開いているものが多い。これに対して、松島氏は「アウト」なのだそうだ。

「マスコミ報道によると松島大臣の『それ』は柄があり、骨もあるということですから、明らかにビラではありません」
「私もこうしたことでは散々選管の『ご指導』を受けていますので十分注意しています」
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