実業家で慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛さん(49)が2014年10月20日、ツイッター上で「仙台地下鉄ってSuica使えない。ダサすぎる、仙台市」と不満を漏らした。
Suica1枚でらくらく乗車できる生活に慣れてしまっていれば、Suicaに対応していない遠方の鉄道で「不便だ」と感じるのは仕方がないことかもしれない。だが「ダサすぎる」という評価が仙台市民の気に障ってしまったようだ。
「うるせー黙ってキップ買え」「仙台に来なくていい」
仙台市地下鉄は仙台市交通局が運営しており、現在は泉中央駅と富沢駅を結ぶ「南北線」のみが走っている。夏野さんはこれに乗車し、車中で前出のツイートを投稿したとみられる。
直後のツイートでは「仙台市営地下鉄ディスったので、これから、仙台市交通局擁護のアホが絡んで来るだろうが」と今後一部のツイッターユーザーから叩かれることを予想。それでも批判の手を緩めず「市民の利便性や外来客の利便性考えられないのは公共交通機関失格だよね」と主張した。
夏野さんのアカウントには「仙台市民ですが本当にダサイと感じてます...」「福岡市地下鉄はiCカード統合の中で、どこのICカード使えるようになりましたし、自治体のやる気の問題ですよね」などと同調する意見も寄せられたが、本人の予想どおり
「うるせー黙ってキップ買え」
「もう仙台に来なくていいですよw」
「地下鉄でSuicaが使えないだけで仙台市がダサいというのは違うと思います」
などと怒った仙台市民が突撃した。
ただ、この時点で夏野さんは勘違いをしている部分もあったようだ。同日のツイートから、IC乗車券自体は「もう導入されている」という認識のもと発言していたことが分かるのだが、仙台市地下鉄は10月21日時点でICカードには対応していない。
なぜ勘違いが起きたのか。実は南北線では、「icsca(イクスカ)」というIC乗車券の利用が12月6日からスタートする。仙台市交通局IC乗車券推進室に聞いてみると、現在では導入に先がけてすべての改札機をIC乗車券に対応するものに更新してあるのだという。
バッシング受け「『仙台市』という組織をdisったのだが」
利用開始まではIC乗車券をタッチしても反応しない。だが、夏野さんはこの改札機を見て「すでにICカード対応にしているので、Suica互換にするコストはかなり小さい」(本人ツイートより)と考え、その上でSuicaに対応させていない仙台市を「ダサすぎる」と評するに至ったとみられる。
IC乗車券推進室によると、IC乗車券への対応を求める利用者からの声は以前からあり検討していたが、2015年の東西線開業に伴い、改札機の更新が決まったという。この計画の中で、南北線については2013年度に導入することになっていたが、東日本大震災の影響で今年度にずれ込んだそうだ。なお、2016年春からはSuicaも利用できるようになると発表している。
10月21日には夏野さんもこの辺の事情を把握したようで「仙台市地下鉄のICカードサービスの利用開始は12/6、Suicaの利用開始は再来年の春だそうです」とツイートしている。
それでもバッシングはまだ収まらないらしく「地下鉄を運営する交通局が属する『仙台市』という組織をdisったのだが」と投稿。仙台市の人々や土地を批判したわけではないことを暗に釈明した。
ちなみに、夏野さんが「Suica」関連の話題で注目を集めたのは今回が初めてではない。今年2月、JR秋葉原駅ホームにある「ミルクスタンド」でSuicaが利用できないことについて「速やかに撤去し業者入れ替えよ。それとも何かの利権か?」とツイートした。加えて現金は持ち歩かないことにしていると表明したため、「何様のつもりだ」「現金を全く持ち歩いていない事を棚に上げ、店が全て悪い様な言い方をしている」などと批判された。