橋下氏「ヘイトスピーチはやめてもらえると思います」
桜井氏「どちらの失うものが大きかったかどんなアホでもわかると思います」
ヘイトスピーチ問題をめぐって2014年10月20日に行われた意見交換会を終え、橋下徹大阪市長と桜井誠・在特会会長の2人はその意義について語った。互いにののしり合い、物別れに終わってしまった形だが、はたして世間の目にはどう映ったのだろうか。
2人は互いに「成果」を語るが...
「お前な」「お前って言うなよ!」「うるせえ、お前、お前だよ」――。呼び方をめぐり、両者は立ち上がり、今にもつかみ合わんばかりにエキサイト。最後は「帰れ!」「お前、ここ大阪市役所だぞ。お前が帰れ」「お前が呼んだんだよ!」とののしり合い、当初予定の30分を使うことなく、わずか8分ほどで意見交換会は終わった。
ついに両者の対話が行われるとあって、多くの人がインターネットで生中継を見ていたが、そのやり取りには「なんと中身のない...」「なんだこの子供の喧嘩」という声が目立つ。
しかし、当事者の考えは違ったようだ。橋下氏は一夜明けた21日の登庁会見で「ヘイトスピーチはやめてもらえると思います」と成果を語る。
言葉づかいの悪さや、口げんかのように見えたという指摘については「マイナスだと感じる人は感じたらいいんじゃないですか。『大人の、市長のふるまいを』というのは簡単です」と気にしていない様子だ。また、エキサイトしたことは「予定通り」として、「色々考えながら応対の仕方、打ち切り方はやったつもりです」という。
さらに「国政政党の代表に申し入れをしたのは初めてじゃないですか。受けたことが重要です」と成果を強調した。
一方の桜井氏は意見交換会後に「一体どちらの失うものが大きかったかどんなアホでもわかると思います」と勝利宣言とも取れるツイートを投稿した。
さらに「大阪市役所、維新の党、大阪維新の会に凄まじい数の批判や抗議の声が寄せられているそうです」とし、今回の討論で注目されたせいか、著書の「大嫌韓時代」がネット通販大手アマゾンの書籍ランキングで1位になったと喜んでいる。
鴻上尚史さん「壮大なコントだ」
2人のやり取りは世間にはどう映ったのだろうか。意見交換会後、両陣営と思われる人たちは「橋下徹が逃亡!在特会の桜井誠会長の質問に一切回答できず」「在特会はなんで最初からあんなに喧嘩腰なのか」などとネット上に書き込み、対立している。
橋下氏の身内である松井一郎・大阪府知事は橋下市長の言葉づかいについて、「1発かまそうとしたんだろう。腹が立ってしょうがなかったのでは」と理解を示す一方、「ヘイトスピーチをやめてもらう」ということについては「まったく効果はなかった」と語ったと、産経新聞が伝えている。成果について、橋下氏とは少し見方が違うようだ。
普段はツイッターで活発に意見を発信する維新の党所属議員らも、この件については沈黙し、論評を控えている。
一方、著名人らは様々にツイッターで反応している。作家の東浩紀さんは「貴重な人生、こんなアホに付き合って無駄にしたくないみたいな気持ちですわ」、ジャーナリストの岩上安身さんは「同じ穴のムジナの、口喧嘩」と切って捨てた。経営コンサルタントの宋文洲さんは「思想の問題ではなく、幼稚の問題だ」と呆れている。
劇作家の鴻上尚史さんはこう語る。「うーむ。これはもう、演劇的で壮大なコントだ」。